家族の成長にあわせ、変わりゆく、住まいのかたち。
ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。
使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。
都内の閑静な住宅街で家族3人と愛犬と暮らす、イラストレーターのよしいちひろさん。お子さんが生まれるタイミングで建てた一軒家での生活がはじまって、9年が経ちます。仕切りが少なく、明るく風通しの良い住まいは、この春、ライフステージの変化に合わせて、リノベーションを行いました。二度目の家づくりは、家族にどのような風をもたらしたのでしょうか。遊び心のある家具や小物に並んで、爽やかな夏の布が、新生活を飾ります。
「結婚後、仕事の都合で関西から東京へ引っ越してきてから3つ目の住まいが今の家です。その前に暮らしていた家は、すごく気に入っていたけれど、80年代に建てられた家だったので、隙間風や虫に悩まされていました。古いものは好きだけれど、マメに手入れができる人じゃないと、住み続けるのは難しいと思い、妊娠をきっかけに新築の家の購入を決めました。」
二階建てのロフト付きの一軒家。一階にはゆったりとした寝室スペースがあり、階段下は本棚やワークスペースがある。二階はキッチンとリビングが並んだ仕切りのないワンルームで、大きな窓からはたっぷりと日差しが入る明るい空間が広がり、さらに階段を登った先にあるロフトからは屋上テラスにも出られます。
「この家は、“家族の気配を感じられること”をテーマにつくりました。建築当初から、ライフステージの変化に合わせてリノベーションができるように考えていたので、仕切りや装飾はなるべく作らないようにしていました。」
息子さんが小学生にあがり、リノベーションが現実味を帯びてきた頃、旦那さんの仕事がフルリモートに切り替わりました。よしいさん自身も在宅ワークだったため、リビングや通路など、生活空間の隙間でお互いの仕事をこなすように。思い切って外に事務所を借りてみるも、賃貸の壁の薄さに余計にストレスを感じ、4日で出戻ってきてしまったのだとか。
「はじめは一階に子供部屋を作るだけの予定でしたが、仕事環境の問題も抱えていたことから、夫婦それぞれのワークスペースも作ってもらうことにしました。寝室にあったクローゼットを半分潰して、夫のワークスペースに。また、寝室の一部を子供部屋に改装しました。」
寝室は上下の空間を仕切り、下は夫婦のベッド、上は子供部屋にある息子さんのベッドを置くことで、限られたスペースを無駄なく活用。
「ひとつの部屋を3部屋にするのは、かなり小さくなるのではと危惧していましたが、設計士さんのセンスで、それぞれが快適な空間に仕上がりました。」
クローゼットは、一階の階段奥にオープンクローゼットとして改めて設置。持っている服の半分を思い切って断捨離したそう。
「持ち物をすべてオープンにすることで、仕舞い込まれたまま使わないものがなくなり、以前より使い勝手がよくなりました。」
一方、よしいさんのワークスペースは、リビングにちいさな小屋を建てるようにして生まれました。鮮やかなグリーンのカラーは自分たちで塗装したそう。
「グリーンやイエローはすごく可愛いけど、飽きてしまうかもと尻込みしていたら、『飽きたら塗り直せばいいよ』と、設計士さんに言っていただいて。たしかにそうだな、と思ってグリーンを選びました。使ったペンキはベンジャミンムーアのもの。木の質感がとても綺麗だったので、全部は塗り切らずに、あえて素材感を残しています。」
「いざ、プライベートな空間ができると、想像以上に快適でした。1日中同じ空間で生活をすることで、家族とはいえ、知らないうちに気を遣っていたんだと思います。家の中にひとりで篭れる場所があることで、以前よりずっと過ごしやすくなりました。」
よしいさんがワークスペースで使うテーブルは、意外にもラフなキャンプ用のテーブル。
「新しいものを迎える前に、まずはあるものでやってみようと、折りたたみのテーブルを使っています。消しゴムをかけるたびにすごく揺れるので、結構不便なんですけどね(笑)」
並んだ椅子は、国も年代もさまざまなヴィンテージ品。少しずつ買い集めては、食卓へ迎えているそう。お気に入りの古家具は、なぜかいつも同じ色だという。無意識に揃えた色味のおかげで、一点ものの家具を集めた空間ながら、整然とした印象に。統一された木の素材感に、小物を使った明るいカラーがアクセントのように添えられています。
「最近、色ものばかり買ってしまうんです。」と、話すよしいさん。赤いクッションカバーや、80年代のマリメッコの布など、明るいカラーを選ぶのがここ数年のマイブームだそう。ダイニングに迎えたアアルトテーブルもそのひとつ。
「halutaのオンラインで購入したテーブルは、グリーンの色味がかわいくて購入しました。実は、事務所用に揃えたものだったのですが、短期間で退去してしまったので、自宅へ迎えることに。それまではコンパクトなラウンドテーブルを使っていて、大きなテーブルで友達とごはんを食べることに憧れていたので、これから人を招くのが楽しみです。」
暮らしを彩るアイテムのなかでも、空間の印象を大きく変えるのが布です。間仕切りやテーブルクロスに、日常的に布を使っているよしいさんにこそ、おすすめしたい遊び心のある1枚布の「14-23」をご提案させていただきました。軽やかな夏の布を、シーンに合わせてご紹介します。
リビングから階段を登った先にある、屋上テラスの入り口へ、天然素材の〈Re.nen〉を。厚手のリネンは、光を取り込みながらも熱は抑え、暑さをほどよく和らげてくれます。この季節を涼しく感じさせる、優しいミントカラーを選びました。
「近くで見た時と、光に透けた時の印象が変わるのがいいですね。テーブルクロスとしても空間と相性がよさそうです。」
続いて、玄関からほど近い寝室の入り口には、ナチュラルな〈KINU〉を迎えます。急な来客時でも視線が気にならず、軽やかに空間を仕切ることができます。
肌に優しいシルクとリネンをバランスよく混ぜた風合いのいい一枚は、間仕切りとしてだけでなく、ベッドリネンとして使うこともおすすめ。縁のエメラルドが、さりげなく涼しげな印象を与えてくれます。
玄関から続くウォークインクローゼットの前には、しっとりと光を取り込む、薄手の〈THIME〉を。透け感のある柔らかな布は、圧迫感がなく、ほどよく生活感を遮ります。
「布で閉め切ってしまうと、隠している感じが出すぎて使いにくかったのですが、タッセルで留めるだけで、自然と空間に馴染みますね。動きのある布の使い方もすごく気に入りました。」
子供部屋に掛けるのは、自然の美しさを布に映した「from earth」シリーズの〈MIZU〉です。 軽やかですっきりとしたブルーは、空間を明るく爽やかに演出します。
クリップで留めるだけの、気軽な窓辺の布。星形〈デリー〉のクリップを一つ飛ばしに留めることで、遊び心も感じられます。
同じ布をリビングではランプシェードに。強烈な暑さを、軽やかな〈MIZU〉が吹き飛ばしてくれそうです。
左右のカーテンを大胆に結んで掛けるのが、よしいさん流。普段のカーテンを生かして、左右に「from earth」シリーズの〈ISHI〉をコーディネートしました。窓の一部に柄物を取り入れることで、アートのように楽しめます。
〈ISHI〉はデザイナーの南村弾が、フランスの蚤の市で手にした天然石を、並べて撮った写真からデザインしたもの。自然のカラーが持つ心地よさとエネルギーが感じられる一枚です。
新しく作った二階のワークスペースは、部屋の外の様子が伺えるガラス張りのデザインが印象的ですが、「集中したい時は布を掛けて過ごしたい」と話すよしいさん。
こちらも「from earth」シリーズから、〈KOMOREBI〉をセレクト。樹々に囲まれたような優しいデザインが、グリーンの塗装ともマッチします。
そのままでも美しいダイニングテーブルですが、季節や料理に合わせてクロスをかければ、いつもと違う印象を気軽に楽しめます。
「テーブルが大きいサイズなので手持ちの布がなかなか合わなそうでしたが、ぴったりのサイズ感でうれしいです。イエローとネイビーの南仏っぽさもかわいい。食卓に明るい色があると、気分も上向きになりますね。」
今回、ダイニングテーブルと、その奥にある窓辺を飾ったのは、「ieno textile」の新たな試みの〈REMAKE TEX〉です。縫製現場で余った布を活用してパッチワークに仕上げました。テーブルには色違いの〈Re.nen〉を、窓辺には〈KOMOREBI〉と〈BAUMKUCHEN VOILE〉の布をそれぞれ組み合わせています。(※2023年内に一部商品化予定)
「最近は、暮らしに積極的に色ものを取り入れてきましたが、いろんな布を掛けてみて、もっと自由でいいんだと感じました。生まれ変わった我が家を飾る遊び心のあるアイテムを、これからもじっくり探してみたいと思います。」
家族と暮らす住まいの第二章は、まだはじまったばかり。家族の成長に寄り添い、ときめきを暮らしに散りばめながら、家づくりは続く。
14-23 from earth - MIZU
言葉では言い表せない最高の景色。偉大な自然からインスピレーションを得た『from earth』シリーズ。
10,800円(税込11,880円)
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