ゆるやかに外とつながる、土間のある家。
ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。
使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。
福島県矢吹町。田園風景のなかに印象的に佇む、重厚感のある黒い家。扉を開ければ、玄関から庭まで続く土間と共に、開放的な空間が広がります。アウトドア派の夫とインドア派の妻、趣味の異なる二人が目指したのは、共生する家づくり。
窓から差し込む日差しや、お気に入りの照明から漏れる光に透けて、布は美しく暮らしを彩ります。
窓の向こうに広がる黄金色。訪れたのは、稲刈りを直前に控えた秋の日でした。夏は緑、冬は積もった雪の白、季節によって変化していく風景が、暮らしのなかに溶け込みます。
「この土地に住みたいから家を建てる、という思いがあるくらい、この景色に惹かれました」
そう話すのは、リフォーム・リノベーション会社「ONOYA」に勤務する齋藤久嗣さん、沙織さんご夫婦。仕事をこなし、2人の子育てに翻弄される日々のなか、いつかいい場所に巡り合えたら、家を建てようと話しあってきました。
そんなある時、久嗣さんの実家からほど近くで好条件の土地を見つけます。駅や学校からも徒歩圏内、なにより景色がいい。四季を感じられる田んぼの側で暮らすのは、二人のかねてからの希望でもありました。
田園風景が広がる美しい景色のなか、新居での暮らしが始まったのは、2023年12月のことでした。
久嗣さんはキャンプや登山が好きな生粋のアウトドア派、一方、沙織さんは映画や本が好きなインドア派。お互いの趣味を尊重して、夫婦が共生できる住まいをテーマに、それぞれが居心地のいい場所をつくっていきました。
沙織さんは自身でデザインした造作キッチンで料理を楽しみ、久嗣さんは半外スペースの土間で過ごしたり、棚の前でお酒を選ぶ時間も大切なひと時だと話します。
異なる趣味を持ちながらも、インテリアの好みは似ているという二人。温かみのある天然素材を空間づくりのベースに、共通の強い希望として「薪ストーブ」と「土間」の導入を決めました。
「LDKの真ん中に玄関から続く土間を設けることで、内と外の境界を曖昧にし、インドアでありながらもアウトドアを感じられる空間になりました。」(沙織さん)
「もともとカーテンで視界を塞ぐのが好きではなく、賃貸の頃から窓辺は開けっ放しにしていることが多かったです。それでも今回、窓辺に布を取り入れたのは、光をやわらかく演出するためでした。」(久嗣さん)
部屋に入り込む日差しを心地よく迎えるため、あえて取り入れたという布。土間から庭へ続く窓には、きらめく〈THIME〉 がかかります。外との出入りがあるため、裾が床につかない位置に窓を設計。窓を開ければ、心地よい風が家中を巡ります。
「14-23」を迎える予定でサイズにあわせて設計したという窓辺は、空間にぴったりフィットします。カーテンボックスを高い位置に設置することで、より開放的に空間をデザインし、垂れる布の姿も美しい。
光の加減によって、ほどよく透け、暗い部屋では煌めく。〈THIME〉の持つシルバーの輝きは、ナチュラルな雰囲気からモダンなスタイルの空間まで、場所を選ばず馴染みます。
石のような素材感を纏った〈テラッゾ〉は、マグネットが付いているタッセルです。横からだけでなく、下からも布をまとめることができるので、より自由に立体感のある窓辺を楽しめます。
普段は薄手の〈TOSS〉で軽やかに飾るダイニングの窓辺ですが、今回はこれからの季節に合わせて、ふっくらと肌触りの良い厚手の〈LA〉のグレーをご提案。
リサイクル糸の優しい質感で温かみのあるグレーは、しっとりと落ち着いた空間を演出。冷え込む季節を暖かく迎えます。
「光のために取り入れた布なので、日が沈む頃には、あえて「14-23」を開けて夜の暗闇を楽しむことも。開放感が生まれる空間で、薪ストーブを使えば、家にいながら焚き火をしているような気分になれます。」(久嗣さん)
無垢材のフローリングに、調湿効果の高い漆喰の塗り壁、薪ストーブの遮熱板には国産の大谷石を。使う素材はひとつひとつ厳選し、天然素材による温もりのある空間をつくっています。
「無垢材は傷になりやすいので、気にかけながら過ごしていましたが、今は傷も味として楽しめるようになりました。」(沙織さん)
さらに、二人のこだわりは内装だけでなく、外壁にもありました。
「外壁は、杉材の表面を燃やして炭化した焼杉というものを使っています。光の当たり方次第で、黒にも銀色にも見える、素材の美しさに惹かれました。木材ならではの風合いや、経年変化も楽しみたいと思っています。」(久嗣さん)
天然素材をふんだんに使った内装は、和のエッセンスを持つ仕上がりに。1階の和室は、キッズスペースや来客時のゲストルームとして活用しています。
窓辺には、〈SEIRO〉をシェードにカスタムメイドし、すっきりと収めました。自然な色合いや適度な光沢感を持つ風合いは、和室にも馴染みやすく、夫婦で選んだ照明との相性も抜群です。
フラットな面をたくしあげることで、布のデザインが引き立つシェード。光が入る時間帯には、床に〈SEIRO〉の柄が映し出されます。
同じ布でも形が変わることで、「14-23」のマルチクロスで使う時とは、一味ちがう表情を浮かべます。
存在感のある照明は、北欧のネルソンシガーバブルペンダントライト。和紙のような素材感が和風のインテリアとも相性がよく、夫婦のお気に入りのアイテムのひとつだそう。
家の印象を左右する照明計画も、すべて自分たちでおこなったそう。北欧スタイルの「多灯化」を意識した、光の取り入れ方で、居心地のいい空間を叶えました。
「北欧の家庭では、テーブルランプやフロアランプなど、複数の間接照明を使い分け、多灯化しています。一度に明るく照らすのではなく、暗くなるにつれて、灯りをひとつずつ足していく。そんな雰囲気のつくり方に憧れて、やわらかな灯りでほどよくスポットごとに照らす、空間づくりを設計しました。」(久嗣さん)
小さな子ども2人と暮らす齋藤さんご夫婦。日々の変化に柔軟に対応できるように、空間を自由に仕切る道具として「14-23」を選んだといいます。
「窓辺を飾るカーテンとしてだけでなく、壁や建材の代わりに使ったり、テーブルクロスになったり、多目的に使えるところが一番の魅力です。不確定な将来に寄り添ってくれる、そんな安心感を与えてくれます。」
和のエッセンスを持つ落ち着いた玄関。奥へ続くオープンクローゼットの入り口には、目隠しとして「14-23」を取り入れています。
「家へ入る時、いちばんに視界に入る場所なので、アートを飾るように、季節や気分によって入れ替えられる、軽やかな布を迎えました。」
普段は、偉大な自然からインスピレーションを得た『from earth』シリーズの〈KOMOREBI〉をかけるシーンに、今回は同じシリーズからカラフルな石をプリントした〈ISHI〉をコーディネート。
軽やかでちょうどいい透け感は圧迫感なく、空間を仕切ります。
玄関とリビングをつなぐ土間は、しっとりと柔らかい〈BAUMKUCHEN〉のグレーで仕切ります。
1枚の布で空間をすっきりと分け、冬場は隙間風を防ぐのにも役立ちます。
洗面所の収納スペースの前には、〈Re.nen〉のキャロットがかかります。
生活感が出やすい水回りの収納に、あえて明るいカラーを取り入れて心地いい空間に演出。
「デザイン性だけでなく、布をさっと開けるだけで、棚から必要なものをすぐに取り出せるので、忙しい朝の時間もストレスなく過ごせています。」(沙織さん)
将来は夫婦の主寝室として活用する予定の2階のセカンドリビング。クローゼットには、〈Re.nen〉のグレーとイエローの2色を組み合わせています。リネンのやわらかな質感が、リラックスできる穏やかな空間に仕立てます。
普段は開け放している窓辺には、ストライプが美しい〈BAUMKUCHEN VOILE〉で遊び心をプラス。空間に新たな表情を引き出します。
「シンプルな布を吊るしてプロジェクターを映し、シアタールームのように活用することも考えています。」(沙織さん)
住まいの在り方を考えたときに、二人が目指したのは、“家族の家”ではなく、“夫婦の家”でした。
「正直、子育てがしやすい家ではありません。無垢の床は傷が付きやすいし、リビングを横切るように土間があるので段差が気になることもあります。それでも、15年後、20年後、子どもたちが巣立っていった後の暮らしまで見据え、夫婦で快適に過ごせる家を心がけました。」(沙織さん)
夫婦二人にとって居心地のいい家をつくることが、これから成長していく子どもたちにとっても、きっと居場所になっていくはず。
住まいは少しずつ形を変えながら、日常を紡いでいく。
14-23 SEIRO
自然な色合いや適度な光沢感、光や風を取り入れるテキスタイル。
※ カスタムメイドをご希望の場合「要相談」
12,800円(税込14,080円)14-23 SEIRO
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