無機質の中に潤いを。植物が主役のインテリア。

ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。
使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。

都心から少し離れた、築33年のメゾネットマンションの一室。リノベーションを経て、夫と娘、そして愛猫のニコと暮らすのは、ルームスタイリストで整理収納アドバイザーの生方悠さん。
さまざまな植物が共生するリビングダイニングは、機能的でありながら、まるでギャラリーのように無駄がない。窓辺に揺れるやわらかな布を通して、緑溢れる空間にやさしい光が届きます。

ミニマルで美しい住まいは、収納や生活動線の工夫は悠さんが、インテリアは宏典さんがセレクトすることで、家づくりにおける役割を分担しています。
現在のような植物を主役にした印象的なインテリアは、以前の住まいがきっかけだったそう。

「結婚後に住み始めたのがデザイナーズマンションで、360度ガラス張りの面白い物件で、中心に水回りがあるような間取りでした。白い壁に、タイル張りの床。ギャラリーのような空間が気に入っていました。」
さらに、その頃から、二子玉川にある『SOLSO HOME』に通い出し、植物の魅力にはまっていったという二人。暮らしに少しずつ、グリーンを揃えていきました。

やがて出産を機に手狭さを感じ、タイル床が子育てに向かないこともあり、引っ越しを検討。同時期に社会はコロナ禍となり、宏典さんの働き方にも変化が生まれました。

「アパレル企業やメーカーが都心に集中しているので、以前は頻繁に出向いていました。でもコロナをきっかけに打ち合わせがすべてリモートに。メーカーや店舗へ足を運ぶことがなくなって、『都心じゃなくてもいいかな』と思うようになりました。」

アトリエ併設の住まいを求めていたため、100㎡以上は最低条件。長年慣れた都心の便利さはありつつも、コストの観点から自然と郊外へ視野を広げました。

ネットで気になる物件を見つけたら、街へ出向き、暮らせるイメージが持てるか飽きるまで周辺を散策。長野・軽井沢や静岡・三島まで足を運びました。そして出会ったのが、現在暮らす八王子のマンションでした。
「メゾネットタイプで、141㎡と広さも十分。都心へのアクセスもよく、遊歩道があって子育ての環境も安心。近くに高い建物が少なく、自然を感じられる開放的な雰囲気も気に入りました。」


2021年から暮らし始めたこの家は、1階は生活空間、2階は夫のアトリエに。リノベーションで床以外すべてスケルトンにし、リビングダイニングの間取りを広く取りました。
「リビングダイニングにはダクトレールを2列平行に設置し、植物をハンギングできるようにしています。部屋全体は白を基調にし、植物が映えるようできるだけシンプルに。白い空間に一部コンクリートの壁を入れたのもこだわりです。」

植物は天井から吊るす・床に置くを組み合わせ、玄関から入ってすぐ目に留まるよう立体的にレイアウト。以前の住まいから持ち込んだものも多く、10年以上育てている株もあります。

「空間自体はシンプルなので、たっぷりのグリーンや季節の花で彩りを足しています。」
空間に存在感を添えるダイニングのアルミテーブルは、宏典さんが6年がかりで探したベルギーのデザイナーによる一台。雑誌で見て以来、同じものを探し続けて見つけたそうです。

「自然なものと無機質なものをミックスした空間が好きなので、我が家のインテリアもそれを意識しています。」

白を基調とした軽やかな空間を整えるなかで、次第に気になる部分が生まれてきました。窓辺のカーテンです。
「もともと二重カーテンを使っていましたが、どこか重たく感じて、空間に馴染んでいないことに気づいたんです。そこで、友人が使っていた〈14-23〉を取り入れてみることにしました。薄手の布を1枚で掛けるだけで、光の入り方が変わって、部屋全体が明るくなりました。」

今回は、植物に合う窓辺を新たにコーディネート。心地よく光を取り入れるダイニングの腰高窓には〈BAUMKUCHEN VOILE〉のナチュラルをかけました。

透ける部分からは、いつもより多くの光をお部屋に取り込めて、窓辺で植物を育てる時に相性のいい一枚です。

すっきりとしたストライプでありながらも、どこか素朴な優しさを感じるのは、日本のリサイクル技術を活かした糸を使用しているから。
製造過程でどうしても出る端材部分や糸の残りを集めて、混ぜ合わせた特別な糸は、心地いいムラが特徴的。温もりのある質感が空間に心地よく馴染みます。

並ぶ窓辺にも、同じように〈BAUMKUCHEN VOILE〉を横にかけて、空間に統一感を演出します。

「窓辺に柄があると、いいアクセントになりますね。光によって、床にストライプの影が生まれるのも綺麗です。」

薄手の〈BAUMKUCHEN VOILE〉と組み合わせてかけるのは、ヴィンテージのカーテンのようにやわらかな厚みが特徴的な〈LA〉。

ペットボトルから生まれ変わり、高密度で織り上げたふっくらと肌触りの良い素材は、強い日差しを抑えながら、ほどよく光を取り入れます。

既製のカーテンではできない、左右色違いのスタイリングもおすすめです。左にはしっとりと優しいミント、右には甘さのあるオフホワイト。窓辺にカラーを取り入れるのが苦手な方でも、ナチュラルなカラーと組み合わせることで、自然に空間に馴染みます。

さらに、窓辺だけでなく、空間の仕切りやベッドリネンとしても使える自由さが気に入ったといいます。

「空間をゆるく仕切ったり、たまにベッドに掛けたりと、シーンを選ばずに取り入れています。お気に入りは、〈TOSS〉シリーズ。透け感と色合いがとてもきれいで気に入っています。」

つっぱり棒の〈Tension Rod PRO〉をつかえば、レールがない場所でも、間仕切りや目隠しに。簡単に布を取り入れることができます。
3mまでつっぱることができるので、梁や壁の間が離れていても、柔軟に取り入れられます。

在宅の時は、リビングで仕事をしているという悠さん。キッチンと一枚布を隔てるだけでも、生活から離れ集中できる空間に。必要な時にだけさっと仕切れるのも、〈14-23〉ならでは。
「3mの幅を仕切れるのはうれしい。娘の部屋がないので、将来的にこのように布で仕切って個室をつくってあげるのもよさそうです。」

ほどよい透け感の〈TOSS〉のホワイトは、白を基調にした空間にフィットします。マグネットタッセルで、裾をたくし上げることで、布の質感もより柔らかく感じ、空間も軽やかな印象に。

家族の寝室には、2種類の軽やかな薄手を迎えました。視界を遮りながら、朝は差し込む光で心地よく目覚められます。

使うクリップを減らせば、なだらかなカーブが生まれます。また、〈14-23〉を横に1枚で使い、床から離すことで、埃がたまりづらく、掃除のストレスも軽減されます。

〈THIME〉は、近くでみるとその煌めきを確認できます。過ごす時間や天候、見る角度や光の当たり方によって、その時々で美しく輝く光の変化も楽しみながら。

シンプルなデザインで、優しいグレーとホワイトの〈Ufufu〉は、上下で入れ替えることで光の入り方を調整できます。季節や気分に合わせ、好みのスタイルを試せるのもうれしいポイント。

「〈14-23〉は、自宅で使ってみて良さを実感しているので、今はルームスタイリストとして、訪問にいった先のお客様にもご提案することも増えてきました。今回のようにゆるく仕切りたいときや、収納の扉代わりの目隠し布としてもおすすめしています。」

2階はファッションデザイナーである夫の宏典さんのアトリエです。生活空間とは異なり、床はイタリア製のタイルを使用しているそう。
「日本のタイルだと単色で暗くなりがちだけど、ランダムなムラが入っていて、並べると奥行きが出る。フランスの照明や作業台など、ヨーロッパのデザインのアイテムとも相性がいいです。」

静寂に包まれる白い空間には、透け感のある〈TOSS〉のグレーをセレクト。無機質な空間にメリハリが生まれます。
〈Tension Rod PRO〉はアトリエではブラックを。色が変わるだけで、ぐっとクールな印象に。

洋服を扱う空間だからこそ、布が自然と溶け込みます。

「実は、片付けはもともと得意ではなく、ミニマルなテイストにも最初はあまり関心がなかったんです。」

まだ以前の住まいにいた頃、子どもの誕生を機に片付けや収納を学び始めました。
「『整理収納を仕事にする 片づけのプロ10人に聞く、暮らしと人生の整え方』を読んで、初めて整理収納アドバイザーという職種を知りました。お片付けが仕事になるんだ、と衝撃を受け、すぐにユーキャンに登録して勉強を始めました。」

その後、2022年に資格を取得し、整理収納アドバイザーとして活動をスタート。オンラインでの相談や、実際にお宅へ伺うサポートも行っています。
「整理収納を意識することで、モノを減らすだけでなく、持ち方自体が変わっていきました。」

「生活感が出やすいキッチンでは調理機器を収納し、持つものは自然と厳選されます。炊飯器は手放して鍋でご飯を炊き、ビルトインの電子レンジも最近はあまり使わず、蒸し器が活躍しています。」

リノベーションに合わせて設けた収納は、動線や使用頻度に沿って設計しています。
「仏壇をしまうリビング収納は必須でした。中身は主に無印良品の収納雑貨を活用して用途別に分類。おもちゃやコード類はすべてラベリングし、靴下収納ケースで保管しています。」


モノと向き合うことで暮らしに余白が生まれ、よりインテリアを楽しめるようになったと感じています。

「自分の『好き』がかなり明確になりました。インテリアも服も日用品も。年齢を重ねたこともあると思いますが、リノベーションをきっかけに見つめ直せた気がします。」

ミニマルで美しいもの、そして大好きな植物を生かしたしつらい。心ときめくものと出会い、ときには手放しながら。無機質と素材感のあいだに、鮮やかな自然の潤いを重ねて、日々の景色を「好き」で満たしていきます。
