ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。

使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。

 

お気に入りの布と器で飾る、休日のブランチ。

都内の一軒家に家族4人で暮らす料理家・tottoさんの食卓は、いつも布と共にあります。気軽にランチョンマットで、特別な時にはテーブルクロスを、制服のように着こなすエプロンも自身で作った特注品。〈14-23〉が彩る遊び心のある空間で、休日のブランチがはじまります。

 

日常に特別感を運ぶ、テーブルクロス

Lの字に広がる大きな窓から差し込むたっぷりの日差しが、部屋を明るく照らします。この日のブランチのメニューはタコス。グリルした野菜に、手作りサルサ、たっぷりのチーズが、お気に入りの器と共に、食卓を彩ります。

アンティークのテーブルにかけるのは、グレーとベージュのボーダーが美しい〈BAUMKUCHEN〉。布の端材をリサイクルしてつくる厚手の布は、気兼ねなく洗濯できる丈夫さがうれしい。

ボーダー柄には、平織りと綾織り、ヘリンボーン織りを交互にいれ、立体感を表現。刺繍のようなステッチがアクセントのデザインです。テーブルだけでなく、気分によって窓辺のカーテンとして迎えることができるのも、〈14-23〉の魅力のひとつ。

古いものから新しいもの、さらにはオリジナルでつくるものまで、さまざまな布をコレクションするというtottoさん。洋服を着替えるように、気分にあわせて選ぶ布が食卓を飾ります。

「毎日じゃなくてもいいんです。例えば週末だけ、家族や友人と過ごすブランチに、お気に入りのテーブルクロスを敷いてみる。いつもの器、いつもの料理なのに、そこに広がるのは全く違う景色。わくわくしますよね。日常の延長でありながら、ちょっとした特別感を楽しむことができます。」

いつでも部屋の中心にあるような主役ではないけれど、季節の移ろいや気分に合わせて、家具や料理、器を引き立てる。布はいわば暮らしの“名脇役”。

料理をこぼすことがあれば、手に付いた汚れをテーブルクロスで拭うこともある。「どうせ汚れるなら」と食事が終わって洗濯機に放り込む前に、汚れた布でキッチンを一拭きするのだとか。

ガシガシ使える丈夫なリネンは、普段使いにぴったり。特別な日には、お気に入りのアンティークレースを。「ちょっとしたシミはむしろ思い出になる。」そう考えれば、気後れしそうな真っ白な布も、途端に親しみやすくなります。

 

料理コーナーのディレクターから料理家へ転身

カラフルで楽しい食卓をつくるのが得意なtottoさんですが、はじめから食を仕事にしていたわけではなく、むしろ料理は苦手だったといいます。

「スポーツ選手の夫と結婚して、 毎日の食事を作る中で食の大切さを実感しました。その後、メイクアップアーティストをしながら、テレビ番組の制作にも関わるようになり、ディレクターとして担当したのが料理コーナーでした。」

買い出しからスタイリングまで、料理研究家さんのサポートをすることで、少しずつプロの仕事を覚えていったそう。その後、自身も食育の資格を取り、料理家へ転身。地域の子どもたちを集めた料理教室を毎週開催しながら、広告や雑誌の仕事もこなすようになっていきました。

「家族の健康を支えるため、普段の料理でも必ず色を気にして食材を選んでいます。例えば赤はトマトで、緑は葉物、チーズや牛乳で白をプラスと、偏りなく色を取り入れれば、自然と栄養バランスも整います。」

 

多国籍なアイテムで、暮らしをスタイリング

イギリスやフランスのアンティークの椅子や、モロッコのキリムのラグなど、時代も国もさまざまなアイテムでつくる暮らし。こだわりの家具は旦那さんが見つけてくることが多く、tottoさんはそのスタイリングを考える担当なのだとか。

「私はカゴや布、器など、暮らしを引き立てる道具が好きなので、家具と組み合わせを考えるのが楽しい時間です。」

グリーンは、庭で育てる植物を剪定のついでに暮らしのなかに持ち込む。オリーブの葉を束ねて照明の周りに吊るして、ドライになるまでの様子を楽しんでいるそう。

玄関を開けてすぐ迎えてくれる壁に飾られる、たくさんの花やアート。ピンクは家族のイメージカラーのようで、生活スペースを印象的に彩ります。

夫婦それぞれ好みが融合されることで、オリジナリティに溢れた賑やかで美しい世界が広がります。

 

ワントーンでつくる明るい窓辺

普段はシンプルな布で飾る窓辺には、素材の異なる〈14-23〉を組み合わせ、ワントーンでコーディネートしました。

ダイニングの腰高窓にかけるのは、ナチュラルな色味と相性がいい〈TOSS〉のミントです。ほどよい透け感で、光は明るく取り込みつつ、外からの視線はほとんど気になりません。

窓のサイズに合わせて、向きを変えて取り入れることもできるのが〈14-23〉マルチクロスのいいところ。クリップの数を調整することで、好みの布の落ち感を演出することができます。

リビングの大きい掃出窓には、クラシックな雰囲気の〈LA〉のミントと、透ける素材感の〈BAUMKUCHEN VOILE〉のブラウンを組み合わせます。どちらも環境に優しいリサイクルの技術を活かしてつくられたもの。

「窓辺にカラーが入ると部屋の景色が変わり、とても新鮮です。クリップでとめるだけなので、テーブルクロスみたいに掛け替えられるのがいいですね。」

〈LA〉は、ふっくらと肌触りのいい厚手の布です。高密度に織り上げたので、リビング・ダイニングだけでなく、寝室でも安心して使える一枚です。光をやわらかく取り込むので、重みを感じさせることなく空間に寄り添います。

インドの職人が編んだ〈CURTAIN VALANCE – AMU〉は、クリップで布と一緒に挟むだけ。好きな〈14-23〉と組み合わせて、自分だけのアレンジを楽しめます。

隣の腰高窓には、〈LA〉のオフホワイトと〈BAUMKUCHEN VOILE〉のナチュラルを迎えます。掃出窓と同じ組み合わせの色違いで空間に統一感を。

ピンク色に塗った壁とも相性が良く、観葉植物のグリーンも映えます。

玄関扉にかかるレースには、〈TOSS〉のグレーをプラスして軽やかな印象に。マグネットタッセルで、ラフにまとめた様子もサマになります。外からの冷たい空気も軽減されるので、冬場はとくに実用性の高いアレンジです。

 

道具として、暮らしに寄り添う布

テーブルクロスやソファカバー、カーテン。一枚の布はさまざまな可能性に満ちています。家の中に限ったことではなく、外へ出る時も必ず布は一枚バッグに入れておくというtottoさん。

「子供が小さい時は、川で遊んだ体を拭いてあげたり、肌寒くなったらストールみたいに羽織ったり。使い込んでいくうちに“こういう使い方もできるんだ”とよく気づかされます。私にとって布は日常になくてはならない、道具のような存在です。」

うれしかった日、悲しかった日、たくさん笑った日。それはいつも側にある。日々の記憶は、布に刻み込まれていく。

 

 

person / totto (Toshiko Kikawada)

edit & write / Arisa Kitamura

photo / Yukihiro Shinohara