想いをつなぎ、アップデートする空間デザイナーの住まい。
ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。
使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。
空間デザイナーの楢原弘志さんと、妻の綾子さんが暮らすのは、自ら内装を手がける都内の一軒家。建築家だったという綾子さんの祖父が、かつてデザインした住まいの断片を残しながら、現代の暮らしにフィットする形にリノベーションしました。住まいにあわせてカスタムメイドした〈14-23〉が、カーテンや仕切りとして、暮らしのシーンに美しく寄り添います。
物心つく前から「大人になったら建築家になる」と話していたという弘志さん。大学進学のタイミングで、本格的に建築を学びに単身アメリカへ。卒業後は帰国して建築事務所へ入社。10年前に独立してからは、内装をメインに手がけるようになり、現在はリノベーション物件のデザインを多く手がけています。
夫婦で暮らす一軒家は、約1年前に自らデザインし、リノベーションした。昭和の趣が残る築30年の物件は、オフィスも兼ねた住まいへと生まれ変わりました。
「この家はもともと、妻の祖父が暮らしていた家だったんです。彼は建築家で、30年前に自分でデザインした家ということもあり、こだわりが散りばめられていました。」
綾子さんの祖父がこの地に建てた初めての家は、広い庭付きの日本家屋でした。その後、本家と離れの2棟に建て直し、今の形に。祖父母の後には叔父が、次に綾子さんの兄、そして楢原さん夫婦というように、世代ごとに家は受け継がれ、家族の思い出を紡いできました。
「昔の人は、家は明るければ明るいほど贅沢という考えだったようです。昭和の時代、日本の家は窓の多い、開放的な造りが主流でした。でも、都会の暮らしでは隣接する家からの視界を遮るため、カーテンを締め切ることも多い。年中開けない窓は結露し、断熱効果も低いものでした。」
現代の暮らしに合わせて、アップデートした住まいでは、三面あった2階の窓を一面に絞り、その代わりたっぷり光が入るように、薄手のカーテンを取り入れました。
窓辺に選んだのは、カスタムメイドした〈ieno textile〉の布。
手前に軽やかな〈TOSS〉のホワイト、奥に軽やかでナチュラルな輝きを持つ〈THIME〉を重ね合わせた窓辺。光の加減によってシルバーの輝きが映る、美しい組み合わせです。
「遮光カーテンが苦手なので、選ぶなら薄手のものをと思っていました。ナチュラルなカラーと組み合わせることで、暮らしに馴染むやわらかな雰囲気を表現でき、理想の窓辺を叶えられて大満足です。」
薄手でも2枚重ねると、夜でも外からの視界をしっかり遮ってくれるので、住宅が隣接する都会の暮らしにも迎えやすいスタイルです。
「光が入る日中は真っ白に見える布も、暗くなるとベージュに。昼夜で表情の違いが楽しめます。」
窓辺に軽やかさをもたらすのは、布の素材や色味だけでなく、その“スタイル”にあります。それが、〈ieno textile〉のオリジナルの「リバーススタイル」です。
カーテンのヒダを後ろでつまむことで、すっきりとミニマルな仕上がりに。さらに、カーテンを開ける時も綺麗に畳まれ、いつでも美しく空間を演出します。
「カーテンの開閉もストレスがなく、来客時にも自慢したくなるほど、美しい窓辺が気に入っています。」と、綾子さん。
マグネットタッセルの〈ムーブ〉で、布を緩やかにたくし上げることで、好みのスタイルをつくります。さらに、必要な部分だけ光を取り込めるので、観葉植物を育てる住まいにもおすすめです。
「インダストリアルなスタイルをベースに、石やレンガ、鉄など硬い素材をメインに扱いながら、布や光、形状の操作など、やわらかな印象を与える要素を織り交ぜて、落ち着いた生活空間に仕上げています。」
モルタルで作るキッチンカウンターは、三角形に凹凸感を出して存在感を演出し、対面でも立ちやすい形状が特徴。さらに、足元に照明を入れることで浮いたようなデザインに。
階段のアイアンの手すりにも、向いのキッチンカウンターとリンクするように現れる三角形。以前の家でお気に入りだった照明は、壁付けにして新たな一面を引き出します。
「30代中盤の時に自宅のデザインを手がけていたら、もっと無機質で重厚な空間だったはず。今だからこそ作れる、暮らしに寄り添ったデザインになりました。硬い部分とやわらかい部分。統一しないからこそ、面白みが生まれるんですよね。」
撮影に訪れた後日、リビングの白いレンガの壁には、アーティストの友人にアートを描いてもらったそう。古い素材やアートが絶妙なバランスで混ざりあい、新築にはない、オリジナルな空間を作り上げていきます。
階段上部に設置したシンプルなポールは、必要に応じて取り外しも可能。冷気をしっかり遮断する厚手の〈PURE〉は、シックなグレーをセレクトし、上品な仕上がりに。
玄関から寝室へ続く扉は、ガラスにブロンズのフィルムを貼ったもの。圧迫感なく、ほどよく生活感を隠してくれます。
造作したベッドに合わせる照明は、旅行先で宿泊したホテルのインテリアを参考に、天井から吊り下げるタイプを採用。ホテルライクに仕上げた寝室は、音響やプロジェクターにもこだわったリラックス空間に。
いつものシンプルなベッドリネンに合わせて、今回コーディネートしたのが、リサイクル生地で作る、ふっくらと肌触りの良い〈LA〉。温かみのあるグレーの色味をベッドカバーに迎え、心地いい眠りへ誘います。
普段のベッドリネンの上から、さっと1枚かけるだけで、生活感を消してくれる優秀な布。控えめで美しい光沢感は、上質なホテルのベッドルームを思わせます。
寝室の奥は、綾子さんのプライベートルームです。オープンクローゼットの前に、〈14-23〉をかけることで、大切な衣類に埃が付くことを防ぎます。階段前の〈PURE〉の色違いのホワイトを選び、統一感を持たせました。
2階の奥、本棚を設置した通路を抜けた先に弘志さんのオフィスとクローゼットがあります。
生活空間と離れた場所、異なるフロアで夫婦それぞれの仕事環境を整えることで、ストレスなく仕事に向き合える時間が増えたそう。
弘志さんのワークスペースにも、リビングと同じ「リバーススタイル」のカーテンがかかります。
落ち着きのある〈TOSS〉のグレーは、ほどよく視界を遮り、作業の集中につながります。
「手頃な布や遮光カーテンを選ぶ人が多いですが、家を作るなら家具だけでなく、窓辺にもこだわってほしい。布越しに光を取り込む美しい窓辺は、暮らしの質を高めてくれます。」
耳と裾部分は〈14-23〉と同じメローロックで仕上げて、よりカジュアルで軽やかな仕上がりに。
家づくりは窓辺から。シーンに合わせた軽やかな布で作る景色は、外と内をゆるやかにつなぎ、時間や季節ごとに異なる表情を見せてくれる。ふいに訪れる穏やかな日差しに、春を見つけます。
CUSTOM MADE リバーススタイル
テキスタイルの質感や素材感をより引き立て、現代の暮らしにちょうどいいカーテンスタイルです。上部のヒダを後ろ側でつまむことで、前側がすっきりとミニマルな仕上がりです。
特別な縫製を施し、カーテンを閉じる際も綺麗にたたまれるのも特徴です。
※ 要相談
ONLINE SHOP