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再生し、受け継ぐ。古材を生かした里山の住処。

ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。

使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。

 

再生し、受け継ぐ。古材を生かした里山の住処。

扉を開けると、昼間でも中は薄暗く、窓から望む庭は、まるでスクリーンの映画のように生き生きと映ります。2016年、長野県佐久穂町にオープンしたゲストハウス「月夜の蚕小屋」。日本家屋の魅力を引き継ぐこの空間へ、〈14-23〉を取り入れてみたら。時を経て風合いを増す古材に、シンプルな布が彩りを与えます。

 

築70年の養蚕小屋をリノベーション

「宿泊できる小さな空間」としてこれまでに4つの場所を手がけ、ゲストハウスを運営する岩下大悟さん。「月夜の蚕小屋」は、もともと自分が暮らす場所として、改修を始めたといいます。

「借りていた古民家と同じ敷地内にあったのが、築70年の養蚕小屋でした。物置として長年放置されていたようで、中は荷物がぎゅうぎゅうに詰め込まれ、ゴミ屋敷のような状態。どうせ使えないと諦めていましたが、ある日、出来心から足を踏み入れてみたんです。」

暗がりのなかよく見ると、赤松の豪快な梁が目につきます。味のある造り、コンパクトなサイズ感も生活にちょうどよさそう。住んでいた家は広く、断熱に時間もかかる。それなら、冬の季節をあたたかく過ごせる場所としてこの小屋を改修し、夏の間はゲストハウスとして人に貸し出そうと考えました。(※ 現在は冬の間も貸し出しています。)

 

出会いを受け入れ、瞬間を形にしていく

建築に関する知識や技術は独学。空間を作るときは、あらかじめ内装のデザインを決めてから取り掛かるのではなく、手を動かしながら少しずつイメージを作り上げていきます。その時に影響を受けたものや、ともに時間を過ごした人、巡り合った材料や家具など、さまざまな要素から、その瞬間にしか表現し得ないものが形になるのだと、岩下さんは話します。

「製作途中、フランスに行く機会がありました。歴史を感じる街並みは美しく、古い建物は何度も補修しながら残している。補修といっても、日本みたいにきっちり直さず、崩れた部分をパテで固めるくらい。300年も住み続けている石の家を見て、古いものをどこまで残し、新しいものをどう取り入れるか。そのバランス感覚を学びました。」

フランスの旅を通じて、古いものがあるから新しいものが活き、新しいものが古いものが持つ独特の雰囲気を際立たせることを体感した岩下さん。小屋の改修作業に戻ってからは、“きれいに直しすぎないこと”を心がけて、空間を作り込んでいきます。なるべく元の空間を構成する材や、眠っていた古材を生かして、小屋がまとう時の流れを表現しました。

剥がした床は、水洗いして乾燥し、3回塗装して元の場所に戻す。古材はバーナーで炙り、外壁や玄関の壁に。ダイニングテーブルやベッドは、地元の天然無垢の丸太から贅沢に切り出したもの。落ち着いた木のぬくもりが空間に調和します。

 

古材と馴染む、やわらかな布

「これまで積極的に布を取り入れたことがなく、あまりイメージが湧かなかったのですが、意外と日本家屋との相性もよく、暮らしのアクセントになる面白い素材だと感じました。とくに新鮮だったのが、布のランプシェード。存在感はあるけど、落ち着いた空間にも自然と馴染むんですよね。光を包む、やわらかな素材感も気に入りました。」

木を基調とする空間に、新たな素材として持ち込んだ〈14-23〉。寝室を照らすのは、気持ちいい透け感が特徴の「LAMP SHADE SORA」。布を通した優しい灯りで、心地よい眠りに誘います。ダイニングの窓辺を飾る鮮やかな一枚は、やわらかくしなやかな光を取り込む「TOSS (RE)」を。控えめに掛けた布は曲線を描き、穏やかな空気を演出。落ち着いたトーンのなかに映える軽やかなレッドは、どこか異国な雰囲気を感じさせます。

 

里山のそばで営む日常

布の奥に透ける、窓から見える庭は、里山につながる荒々しい自然を再現したそう。家具は近くの廃校になった小学校から譲り受けたものが多く、ダイニングテーブルの椅子は図書館の椅子、キッチンの棚は音楽室のもの。この場を構成するひとつひとつから、自然と寄り添う集落で積み重ねてきた、日々の営みが感じられます。

「初めて、この場所に足を踏み入れた時、静けさと湿った匂いから、子供の頃、恐る恐る入った薄暗い蔵の記憶が蘇りました。怪しみながらも、好奇心があふれだすようなあの気持ち。便利で快適なホテルにはない、冒険心をくすぐる感覚に触れてもらえるとうれしいです。」

ふと懐かしさを感じる心地よさのなかで、一枚の布は、やわらかな風をまとって、空間の持つ魅力を引き立てます。里山風景の中で営む暮らしに寄り添い、新たな素材を迎えいれながら、この場所はまたひとつ、記憶を重ねていく。

 

place / 月夜の蚕小屋
 
edit & write / Arisa Kitamura

photo / Yukihiro Shinohara
再生し、受け継ぐ。古材を生かした里山の住処。

14-23 Re.nen (NL)

リネンの生地の製造過程でどうしても出る布の端材部分や糸の残りを集め、リサイクル技術を活かし再活用した植物を原料にしない新しい発想の質感が良く丈夫なリネン100%のスペインならではの厚手の布です。

10,800円(税込11,880円)

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再生し、受け継ぐ。古材を生かした里山の住処。

14-23 TOSS (RE)

リネンとポリエステルの糸をバランスよく混ぜ合わせ、軽くて心地よい光を取り込むしなやかなテキスタイル。

10,800円(税込11,880円)

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再生し、受け継ぐ。古材を生かした里山の住処。

LAMP SHADE SORA

雲の重なり光の強さやピンクの優しい光が美しいランプシェード。

25,300円(税込27,830円)

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再生し、受け継ぐ。古材を生かした里山の住処。

CASE CUSHION Re.nen

植物を原料にしない、新しい発想の質感が良い天然素材のケースクッション。

3,200円(税込3,520円)

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再生し、受け継ぐ。古材を生かした里山の住処。

14-23 BAUMKUCHEN (GR)

しっとりと柔らかいマルチテキスタイル。

10,800円(税込11,880円)

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