旅を日常に、ホテルのようなワンルーム。

ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。
使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。

赤みを帯びたグレーの壁に、窓から差し込む柔らかな光。真鍮のカーテンレールにゆったりとかけられたリネンの布が、部屋の空気をほどよく整えている。インテリアデザイナーの斎藤奈未さんが暮らすのは、都内の築55年のマンションの一室。
自身のデザインでフルリノベーションしたワンルームは、まるで洗練されたホテルの一室のよう。壁に飾るアートから、照明、器まで。仕事で培った眼差しで、編集するように自分だけの居場所をつくる、斎藤さんの暮らしを訪ねました。

在宅の仕事が増えて手狭になったことをきっかけに、広い部屋を探しはじめた斎藤さん。出張や旅行で家を空ける機会も多く、「賃貸で家賃を払い続けるのがもったいないな」という気持ちも重なり、中古マンションのリノベーションへと気持ちが固まっていきました。空間デザインを手がける仕事柄、購入という選択肢は自然と身近にあったといいます。

イメージしていたのは、ホテルのスイートルームのような空間。洗面台は部屋側に出したい、ワンルームとして広々と使いたい。そのためには、正方形に近い間取りが理想でした。
それがたまたま物件として上がってきたのが、今の住まいです。「もう、即決でした」と、少し笑いながら話してくれました。築55年のレトロマンションながら、管理が行き届いていたこともあり、住むには困らない状態だったといいます。
自身を直感で動くタイプだと話す通り、2025年の年明けに動き出した家探しは、とんとん拍子で決まり、春には契約。改修工事を経て、その年の夏から新しい暮らしがスタートしました。

リノベーションのデザインは、すべて斎藤さん自身で手がけました。正方形の間取りを活かし、壁付けのキッチンとカウンターを中心に据えて、そこから全体を組み立てていったそう。

そしてもうひとつ譲れなかったのが、洗面台の場所でした。
「以前の賃貸では脱衣所の奥にあり、夏は暑く冬は寒い。毎日使う場所だからこそ、もっと気持ちのいい環境に置きたくて、ホテルの洗面台を参考に、部屋に入ってすぐの場所に設置しました。独立させたことで開放的に使えるし、よりインテリアにこだわるようになった。下手したらキッチンより長い時間を過ごしているかも。」

キッチンや洗面カウンター、玄関の壁に採用したのは、滑らかで温かみのあるシナ材。下地として使われることの多い木材ですが、そのニュートラルな雰囲気が空間にやさしく馴染みます。
カウンターの天板は左官仕上げも検討したものの、メンテナンスも考慮して既製品をセレクトしたそう。

「見た目だけで選んじゃうと、暮らし始めてから不便だったりするので、バランスを見ながら決めました。」
壁と天井のペイントは職場の友人たちと一緒にセルフで仕上げました。使ったのはポーターズペイント。少し赤みのあるグレーで空間全体を統一したことで、どこにいても包まれるような、やわらかな一体感が生まれています。
大学時代、無印良品でアルバイトをしたことをきっかけに、もともと興味のあった服飾の世界から「暮らし」へと視野が広がりました。その後、社内登用の試験を受け、希望のインテリア部門へ。個人住宅のコーディネートを経て、現在は、宿泊施設や法人向けの住空間デザインへとフィールドを広げています。ホテル、レジデンス、学生寮など、暮らしの延長線にある空間づくりを心がけているのだとか。

「旅行と食と手仕事のものが好きで、プライベートで行った場所で見て感じたことをインプットして、それを仕事でアウトプットしているような感覚。仕事とプライベートに境界線がないかもしれないです。」

旅先で印象的だった景色や、アイテム、空間を写真に収め、日々アイディアをストックしているそう。それは仕事に生かされるのはもちろん、今回の家づくりでも役立ったそう。

家具や照明を選ぶときのルールは、ブランドよりも「直感的にいいと思えるかどうか」。素材がばらばらでも、色・質感・温度感のトーンを統一する。彼女の暮らしを編集していく上で、大切にしていることです。
「メーカー品より、作家ものが好き」と話す通り、手仕事の温もりを感じるような、シンプルながら存在感のあるアイテムが、生活に散りばめられています。

たとえば、天井から吊るされた照明は、奈良を拠点とする夫婦作家ユニット、〈NEW LIGHT POTTERY〉によるもの。セラミックの質感が、空間にやさしい存在感を添えます。

リビングのスタンドライトは、福岡の作家・吉本康晃さんの作品。
「照明としてはもちろんですが、灯りをつけていない時の佇まいも気に入っています。」

ダイニングに置かれたヴィンテージのキャビネットは、引っ越しにあわせ、北欧家具の〈haluta〉で購入したもの。来客用の食器は、こちらにまとめて収納しているそう。

「普通のカーテンはあまりしっくりこず、もっとラフな感じに布をかけるのもいいなと思って調べていたところ、出会ったのが〈14-23〉でした。マルチクロスをゆったりかけている感じに惹かれました。」

浜田山のお店で、新鮮な組み合わせを提案してもらえたのが嬉しくて、ダイニングスペースの窓辺にそのまま採用したという〈SEIRO〉と〈THIME〉。高層階のマンションなど、外からの視線が気にならない環境では、薄手の布を2枚重ねる軽やかなスタイリングを楽しめます。
窓のサイズに対して、横の長さが少し足りないながら、そのラフさが潔い。

「夜になると照明に当たってキラキラ輝く、〈THIME〉の質感の変化がとても気に入っています。」
手前にかかる〈SEIRO〉は、暮らしの道具である、蒸篭からインスピレーションを得た一枚。ほのかな光沢感が空間にやさしいアクセントを与え、軽やかに寄り添います。色味の近い〈THIME〉を合わせることで、〈SEIRO〉の存在感を引き立て、空間にメリハリを生み出します。

「セイロと聞くと奇抜なデザインを想像しましたが、部屋に持ち込んでみるとどこか北欧っぽさも感じられる、暮らしに馴染みやすく使い勝手のよさに感動しました。」

普段はナチュラルカラーのリネンをかける寝室には、新たに軽やかな2種類の〈TOSS〉をご提案しました。
落ち着きを生むグレーと、清涼感のあるミントです。

温かみのある穏やかなグレーは、静かに空間に寄り添います。

爽やかでありながら、気持ちを落ち着かせるミントは、空間をやわらかく整えてくれます。

ワントーンになりがちな空間に、少しのアクセントを。異なる2色を選ぶ場合は、同じ素材感で統一感を演出します。

マグネットタッセルを組み合わせ、裾をたくし上げることで、布のやわらかさがより引き立ち、空間に動きが生まれます。窓辺の植物にもうれしい、心地いい光を取り込みながら。

繊細な光沢が美しい、タイルのような質感の〈テラッゾ〉。自然素材を好む斎藤さんの暮らしにぴったりなアイテムです。やわらかな布の質感と組み合わせ、異なる素材感を楽しめます。

「ワンルームの大胆な間取りは、遊びにきた友人によくびっくりされます。寝室までオープンだからこそ、常にきれいにしておこうという気持ちが働くので、自分では気に入っています。」
とはいえ、友人を招く機会が増えた今、一枚の布がほどよく生活感を和らげてくれる存在になりそうです。仕切るというより、気配をやわらげる。そんな布の使い方も、きっとこの部屋には似合うはず。

カーテンレールのない場所にも、つっぱり棒の〈Tension Rod〉を設置すれば、賃貸でも気軽に間仕切りを導入できます。3mまで伸縮可能なため、開放的なワンルームにもおすすめです。

間仕切りとしてご提案するのは、透け感が心地良く奥行きを感じるストライプ柄の〈MERCI〉。スペースを仕切りながらも、圧迫感を感じさせず、布の質感が空間にやさしく寄り添います。

「模様替えのついでに、仕切りを気軽に取り外せるのもいいですね。」
一枚の布で生まれる、おこもり感。〈14-23〉を使った間仕切りは、集中したい時や、ゆっくり体を休めたい時にも役立ちます。必要に応じて、簡単に取り外しもできるので、気分や季節にあわせて空間を切り替えることができます。

コート掛けやチェアのある、広々とした玄関スペースにも、つっぱり棒の〈Tension Rod〉とあわせ〈14-23〉をお迎え。

寝室と同じく〈TOSS〉のシリーズの中から温かみのあるネイビーをご提案しました。一枚かけるだけで生活感を和らげ、急な来客があっても安心です。

新たな住まいでの暮らしが始まってから、外食するより、友人と集まってホームパーティーをする機会が増えたそう。この部屋を見て、家の購入を決めた友人もいるのだとか。

「好きなものが似ていることもあり、自宅購入をした友人宅のリノベーションのデザインのお手伝いをさせてもらったりもしています。家具選びの相談に乗ることも。」
自分の暮らしを丁寧に育てることが、いつの間にか誰かの背中を押していた。

斎藤さんの暮らしぶりからは、「家を持つことが、生活を制限することにはつながらない」と思わせてくれる何かがあります。いつか別の場所に住みたくなったら生活を変えてもいい。思い立ったら引っ越せるような、身軽さも持ち続けたいと話してくれました。

「いつか手放すかもしれない家ですが、まずは思う存分、今の暮らしを楽しもうと思います。ファブリックを季節ごとに変えたり、アートや植物を少しずつ増やしたり、家での時間を充実させていきたいです。」
旅と日常をゆるやかに結びながら、自分だけの空間を編んでいく。やわらかな眼差しでつくる心地よい暮らしは、誰かの物語へ連鎖しながら。
14-23 TOSS (GR/MNT)
リネンとポリエステルの糸をバランスよく混ぜ合わせ、軽くて心地よい光を取り込むしなやかなテキスタイル。
10,800円(税込11,880円)
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