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世界が注目する、布のトレンドのお話。 Heimtextil Trends 2026/27

Heimtextil Trends 2026/27,ハイムテキスタイルトレンドアンバサダー南村弾

ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。

使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。

 

世界が注目する、布のトレンドのお話。

2021年からスタートした「14-23のあるくらし」はおかげさまで52回目となります。
これまで様々なすてきなお家に伺い、自然と暮らしに寄り添う<14-23>がある風景をお届けしてきました。

今回は番外編としてieno textile主宰の南村弾より、世界が注目する、布のトレンドのお話を昨年に続きさせて頂きます。

Heimtextil Trends 2026/27,ハイムテキスタイルトレンドアンバサダー南村弾

いつもどうもありがとうございます。ieno textileの南村弾です。

2026年の1月にドイツ・フランクフルトで世界で最も大きな布の展示会、「Heimtextil (ハイムテキスタイル)」が開催されました。ホームテキスタイル分野で、最新のトレンドを1971年から50年以上発信し続けてきた歴史のある展示会です。

Heimtextil Trends 2026/27,ハイムテキスタイルトレンドアンバサダー南村弾

我々は2009年~2019年の10年間、ハイムテキスタイルのトレンドセッティングを行い、2020年からはアンバサダーとして関わっています。

 

AIの活用で布の未来を探る

Heimtextil Trends 2026/27,ハイムテキスタイルトレンドアンバサダー南村弾

ドイツを中心としたヨーロッパ経済は、地政学的緊張、アメリカとの関税問題、さらに進むインフレなどにより不安定な状況が続いています。

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その一方で、サステナブル意識の浸透やAI活用により革新的なデザインアプローチがはじまりつつあり、新たなビジネスチャンスの創出や未来のインテリアデザインへの期待感が高まっている中で今年のハイムテキスタイルは行われました。

 

Craft is a verb

Heimtextil Trends 2026/27,ハイムテキスタイルトレンドアンバサダー南村弾

今年は、「Craft is a verb(クラフトは動詞である)」をトレンドテーマに、AIのデザイン活用の可能性が大々的に取り上げられました。インテリア(布のデザイン)でもAI をデザインの拡張ツールとして最大限活用すべきということを示したものです。

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「AIの登場によって、なくなる職業は何か」という問いがよくありますが、デザイナーやコーディネーターも、それに該当する可能性がもちろん今はあります。しかし、歴史を振り返れば19世紀の産業革命では機械が職人を脅かし、「人間対機械」という構図の出現によって、手仕事の回帰が生まれアーツ・アンド・クラフツ運動が起きました。

20世紀以降も工業化・ロボット化によって人手が不要になってくるほどに、手仕事の重要性が見直されてきました。

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つまり歴史的に機械による自動化と人間の手仕事の評価は、振り子のように繰り返されています。

現在のAIの登場も過去から続く、そうした振り子運動の1つであり、デザイナーもコーディネーターも不要になるのではなく、AI をうまく使いこなすことによって新たな可能性が引き出されるということです。

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そうした考え方の中で「Craft is a verb」では、AI 活用の具体的な3つの方法と、現時点ではAI表現が難しい3つの手法の計6カテゴリが提案されました。

余談ですが、今年の夏に公開予定のトイストーリー5はウッディとバズ達のアナログオモチャ対通信できるデジタルオモチャ(AI)がテーマのようです。久しぶりに映画館で観たいと思います。

 

AIを活用することで広がる可能性

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1/ Re:media

・デジタルと手仕事など、異なるメディアを組み合わせることで生み出される新しい表現。
・デジタル画像を手織りに変換する際に発生する、解像度の粗さやノイズといった不完全さがデザインになるという考え方。

2/ Visible co-work

・AIと人間の協働を、あえて「見える形」で残すようなデザイン。
・職人による陶芸作品と3Dプリント素材を組み合わせ、両者の境界をあえて強調するデザイン。
・クラフトとテクノロジーの「共存」を美学に変える考え方。

3/ Sensing nature

・従来のナチュラルのように自然を模倣するのではなく、AI が自然から情報を「感知」して、それをパターンに変換しデザインしたもの。
・海の波や森林の自然の音をデータ化し、手織りの模様へと再構築するイメージ。
・自然×AI×クラフトという三層構造で、人間が自然を再解釈するための「媒介」としてAIを使う考え方。

以上の3つは、AIを活用することで広がるデザインの可能性を示したものです。
続いて、現時点ではAIでは表現が難しいとされる3つの手法を見ていきます。

 

人間の感覚を重視することで生まれる可能性

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4/ A playful touch

・AI が苦手とする「遊び心」や「偶然性」を、人間らしさの表現としてデザインへ取り込むことで、新たな概念を生み出す手法。

5/ Crafted irregularity

・人間の手仕事や自然現象が残す「不規則さ」を積極的に活かしたデザイン。
・完全に予測不能な自然の痕跡を取り込んでいく手法。例えば、雨に晒して模様を染み込ませるなど。

6/ The uncanny valley

・不気味の谷(人型ロボットや CGキャラクターなどが人間に酷似するほど不気味さや嫌悪感を抱くという心理現象)の概念を応用したデザイン。
・機械の内部構造を装飾化したテキスタイルや宗教的アイコンを歪めて用いたり、既視感と違和感の間に生じる「美」を発見し、新しい美意識を提示する手法。

このような6つのカテゴリ内容で、トレンドブックは構成されました。

 

トレンドを体感する会場構成

会場構成は、トレンドブックで今回ピックアップされたプロダクトを並べた「Home」と出展者の製品を展示する「Data Farm」の2エリアで展開しました。

Heimtextil Trends 2026/27,ハイムテキスタイルトレンドアンバサダー南村弾

「Home」のブースは、建築家フィリップ・ジョンソンが1949年に建てた「グラスハウス」をモチーフにしたものです。

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ブース内は、リビング、ダイニング、ベッドルーム、バスルームのエリアに分かれて、6つのトレンドカテゴリに沿ったプロダクトを展示しました。

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ほとんどのプロダクトは新進気鋭の若手デザイナーが制作した、まだ世に出ていないものです。これらの新しいデザイン手法から着想を得て、今回の拡張ツールとしてのAI 活用をトレンドテーマとして引き出したわけです。

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ちなみに、ブースのモチーフに「グラスハウス」を選んだ理由は、デザインの未来を見据えてのこと。「グラスハウス」も当時は荒唐無稽と捉えられていたが、現代では優れた建築として有名です。

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トレンドで今回ピックアップされたプロダクトも、現時点では奇妙にも見えますが、 30年後は受け入れられていくことになる、という思いが込められています。

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そして、この「Home」から、水が流れるように「Data Farm」につながっていき、水の流れは6つのカテゴリに枝分かれしてたどり着くイメージです。

「Home」で示したトレンドの考え方を、出展者による展示製品という具体的な形として表現しているのが最大の特徴です。

 

Heimtextil Trends 26/27 Colour Palette

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ここからは「カラーについて」お話を続けます。

ハイムテキスタイルは毎年、業界の専門家にインスピレーションを与え、選択の助けとなることを目的としたカラーパレットを提案しています。

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歴史的に見ると、社会の影響や傾向によってカラートレンドは決まります。そして、それが特定のトーン、色調、明るさとなり、具体的なグローバルシフトを反映してきました。カラーは本質的で社会的なものです。

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さて今年のカラーは、自然由来の落ち着きのある色味とデジタルが生み出すシャープな色味の構成です。

それぞれのカラーをランダムに混ぜて生まれる、組合せを楽しむ感覚です。

「今」という空気感の表現にはカラーが効果的です。

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例えば、軽やかで楽しげな温かさを生むには「ブラウンとライム」を組み合わせ、「フォレストグリーンとキャロット」は高級感のある美しさを際立たせます。

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また、「オレンジとブルー」はポジティブで元気な印象を与えます。そして「ピスタチオとライラック」は洗練された伝統と格式を表します。

文化や国を超えてデザインやカラーが、共通言語のように思える時代が到来しました。

 

そして、暮らしへ

Heimtextil Trends 2026/27,ハイムテキスタイルトレンドアンバサダー南村弾

このような時代において、物作りの核心は「手を動かすこと」「経験を積むこと」にあり、その行動自体に価値があるという、Heimtextil Trends2026/27でした。

最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございます。

次回はいつもの「14-23のあるくらし」です。とってもすてきな暮らしにお邪魔してきました。

どうぞこれからもよろしくお願い申し上げます。

 

 

write / Dan Namura

edit & photo / ieno textile