ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。

使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。

 

ご機嫌な日々を奏でる、ふたりの時間。

結婚生活の舞台に選んだ街は、住み慣れた東京・吉祥寺から少し離れた閑静な住宅街。お店のように過ごせる場所にしたいと、好きな料理や音楽を存分に楽しめる空間づくりにこだわった、夫婦の新居にお邪魔しました。春らしい軽やかな布が、新生活を彩ります。

 

リノベで叶えた、理想のマイホーム

喬さん、萌子さんご夫婦の、はじめてのマイホームは、中古マンションをリノベーションして作り上げました。木の温もりを感じる開放的な空間に、以前の住まいから引き継ぐ、お気に入りの家具が馴染む。ライフスタイルに合わせて細かく設計した家は、住み始めたばかりとは思えないほど、ふたりの生活に自然とフィットしていました。

マンションの購入を考え始めたのは、今から約1年前。ふたりの結婚式を目前にしたタイミングでした。当時、萌子さんは体調を崩し半年間の入院生活を送っており、長い時間をベッドの上で過ごすうちに「元気なうちに、やりたいことをやっておかないと」という気持ちが強くなっていったといいます。

「それまで暮らしていた賃貸では、寝室の広さや、キッチンの狭さなど、空間をうまく活かせない不満を感じていたこともあり、家を持つなら自由な間取りが叶うリノベがいいなと。ふたりともインテリア好きなこともあって、好きな空間にお気に入りの家具を並べるのは、憧れでもありました。」（萌子さん）

無事に式を終え、本格的にマイホーム計画を進めていくふたり。長らく暮らした吉祥寺から、バスで1本のエリアで探し、今の物件と出会います。無事、契約を済ませると、フルスケルトンの状態から、思い描いた理想を形に落とし込んでいきました。空間の主役であるカウンターキッチンも、ふたりのこだわりを体現したひとつです。

 

カウンター越しに過ごす、夫婦の時間

料理好きな喬さんが快適に作業できるように、通常より5cm高めに設計。さらに、持ち込んだダイニングテーブルに合わせて幅を決めます。カウンターに使うパネルは、1940～60年代のアメリカで人気を博したミッドセンチュリーを意識したデザインを採用しました。リビングに面したキッチンで過ごすことで、夫婦の時間も増えたそう。

「もともと料理が好きで、休日は仕込みで2時間くらいキッチンに篭っていることもあります。以前の家ではリビングから離れた場所にキッチンがあったので、ひとりで音楽を聴きながら作業していましたが、今は夫婦で会話しながら料理をしていることが多いです。」（喬さん）

共にお酒が好きだというご夫婦。周辺環境の変化から、以前のように気軽に飲み歩くことができなくなった代わりに、おうち時間を充実させようと、ワインセラーや冷蔵庫の中には、常に好きなお酒をストック。料理はもちろん喬さんが担当します。高めのカウンターで乾杯すれば、気分はさながら立ち飲みバル。

「友人や同僚にもお酒好きが多いので、みんなで集まって過ごせる場所にしたいです。」と、ふたりは新居でのこれからの過ごし方を語ります。

 

自由なレイアウトでフィットする暮らし

キッチンだけでなく、洗面台やお風呂の浴槽なども、背の高い喬さんに合わせて作っているそう。さらに、玄関からメインルームに続く廊下は、すれ違う時にもストレスがないように、広めに設計。賃貸では叶わない自分たちに沿ったサイズ感が心地よさの理由です。

音楽は、夫婦の共通の趣味のひとつ。リビングの一角に趣味のスペースを設け、楽器や好きなレコードを並べました。アクセントとして取り入れたブルーグレーの壁は、空間にメリハリを与えます。

「予算の都合で自分たちで塗った壁は、思ったより簡単に綺麗に仕上がったので満足しています。難しく感じていたDIYのハードルも下がったことから、毎年この壁だけは塗り替えて楽しもうと思っています。」（萌子さん）

無垢材の床は手入れが難しいことから、窓辺と水回りはタイルで統一。植物を置くインナーテラスとしても活躍しています。日当たりの良さから室内でも十分に草木が育つという。「今後は、パセリやバジルなどハーブ類を育てて、料理にも活かせたら。」（喬さん）

 

新生活を整える、椅子と布

お気に入りの家具を持ち込む一方で、新しく迎えたアイテムも多い。例えば椅子。北欧家具に目がないというふたりが、ワークスペース用に選んだ椅子は、アルテックの名作チェア。長く座っていても快適さが続くそう。

窓辺や仕切りに活用する布も、新生活に合わせて新調しました。サイズに関係なく取り入れられる1枚布の〈14-23〉は、あえて同じ色柄で揃えず、用途に合わせてセレクト。

ホワイトとグレーのバイカラーが美しい〈Ahaha〉は、リビングとダイニングで上下を変えて、統一感を演出。レースカーテンに迎えた薄手の〈TOSS〉は、空間に役割を与えるようにそれぞれ別の色味を取り入れました。

ワークスペースのある左側の窓には、たっぷり光を取り込むホワイトで、明るく仕事も集中できる空間に。ダイニングに面した右側の窓には、ゆっくり寛げるように日差しをほどよく抑えるグレーを。同じ布でも色味を変えるだけで、シーンに合わせた心地よい暮らしを作ります。

 

扉の代わりに、軽やかな布で暮らしを飾る

寝室とトイレ以外は、扉の代わりに〈14-23〉を活用しているそう。建具にはない軽やかな質感で、暮らしを飾ります。

玄関とウォークインクローゼットをつなぐ仕切りには、明るい〈TOSS〉のライムを。外出時や帰宅した時に視界に入るフレッシュなカラーは、いつでも気分を上向きにしてくれます。「明るい色味が自分たちの暮らしに合うか不安でしたが、いざかけてみると、想像以上にしっくりきて驚きました。これまでにはなかった新鮮なアイディアで、家づくりを楽しんでいます。」（喬さん）

さらに、ウォークインクローゼットの窓にも布を迎えたいという夫婦の希望から、from earthシリーズの〈KOMOREBI〉を新たにご提案。折り返すことで自由にサイズを変えられる〈14-23〉の特徴を活かし、半分に折って窓辺を飾ります。二重になったことで奥行きが生まれ、立体感のある木漏れ日が美しい。ライムとの組み合わせでより華やかに。

サニタリールームの仕切りに取り入れるのは、シルバーのラインが美しい〈PURE〉のホワイト。「鏡を見るたび、映り込むシルバーの輝きがお気に入りです。」（萌子さん）

普段は開け放しているというパントリーに、もし布を取り入れるなら、窓辺と同じ薄手の〈TOSS〉からミントを。生活感をほどよく抑えた、整然とした印象を与えてくれます。

1枚で気軽に飾れる空間の仕切りは、カラーや質感を取り入れるのが特におすすめ。季節や気分によって、気軽に模様替えを楽しめるのも、うれしい魅力です。

 

住まいの探究は続く

理想の住まいを実現したばかりのふたりですが、実はすでに新たな家づくりの構想もあるのだとか。「最近、旅行に行った長野県で移住を勧められて、マンションを購入したばかりなのに、すっかりその気になってしまいました（笑）今回の家づくりで学びも多かったので、次はもっといい家ができるんじゃないかと思っています。」（萌子さん）

完成したばかりの新居での暮らしを楽しみながら、数年後、数十年後に築く未来の住まいを夢見る。憧れを追いかけながら、ふたりの生活は続く。

 

 

person / Moeko & Takashi

edit & write / Arisa Kitamura

photo / Eri Kawamura