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湖畔の家で築く、家族という小さな社会。

ieno textile、中村 暁野、家族と一年商店、家族カレンダー

ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。

使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。

 

湖畔の家で築く、家族という小さな社会。

ieno textile、中村 暁野、家族と一年商店、家族カレンダー

家族をテーマにさまざまなメディアで執筆をおこなうエッセイストの中村暁野さんは、約7年前に長らく暮らした東京・三鷹の地を離れ、家族と共に、神奈川県相模原市にある旧藤野町へ移住しました。

自然と寄り添う、エシカルな暮らしに取り組む中村さんの住まいへ迎えるのは、無駄のない循環から生まれた〈14-23〉。窓辺にかかるやわらかな布の向こうには、穏やかな水面が広がります。

 

都会の違和感を手放し、山と湖のそばで暮らす

中村 暁野、家族と一年商店、ieno textile、リネンカーテン

芸術家の両親のもとドイツで生まれ、物心ついた頃から、環境や人権への意識が自然と生活に根付いていたという中村さん。しかし、消費することが当たり前の都内の生活では、違和感を感じながらも、流されるように日々をやり過ごしていたそう。

りんご、食卓、休憩

「街で暮らしていると、望んでいないことについお金を使ってしまいます。たとえば、移動中に子供がぐずったら、ご機嫌取りでガチャガチャをして、その場をスムーズにいくようにしたり。きちんと暮らしに向き合いたいけど、忙しさを理由に消費することで手軽に済ましてしまう。自分が望む生活との矛盾に、ずっと苦しさを抱えていました。」

都会の生活では、中村さんだけでなく、彼女の娘もまた、幼いながら生きづらさを感じていたそうです。

アーチのドア、バームクーヘンボイルランプシェード、キッチンドア

「幼い頃からとても繊細で敏感だった娘は、保育園に通うようになってからも、なかなか周りと馴染めず、つらい思いをしてきました。このまま生活を続けるのは、私たち家族にとって良くないと感じ、子供たちが伸び伸びと暮らしていけるような環境を探して出会ったのが、藤野にあるシュタイナーの学校でした。」

Re.maketex、パッチワークカーテン

先生たちの手厚い歓迎を受け、翌年の小学校の入学に合わせて移住を決意。それから瞬くスピードで東京の生活を手放し、家族4人は、都心から一時間半の距離にある、山と湖に囲まれた家での生活をスタートさせました。

「田舎で暮らしてみると、物量や情報量が圧倒的に少ないので、望まない消費をすることがなくなりました。不便といえば不便だけど、それが私たちにとってはちょうどよかった。」

玄関薪ストーブ

 

自分を大切にすることで、許し合える関係に

旧藤野町、湖、中村 暁野、家族と一年商店

「子供の環境のために決めた移住でしたが、藤野はもともと持続可能なまちづくりに取り組んでいて、パーマカルチャーセンタージャパンの拠点があったり、地域通貨を導入していたり、野菜や卵は地域の生産者から買うことができる。最近では、量り売りの販売も行っています。これまで私が思い描いていた暮らしが、当たり前にそこに存在していました。」

毎日のように開ける店は藤野には少なく、ほとんどは週2~3日の営業だそう。そこには、自分自身をいたわる前向きな姿勢がありました。

キッチン、暮らし

「都会には素敵なお店がいくつもありますが、とにかくスピードが速いし、速さの中で暮らしに向き合うのは難しいことがたくさんある。藤野では気持ちよく働ける範囲で、ゆとりを持って仕事に向き合う人の姿がありました。自分を大切にできると、回り回ってお互いを許し合えるし、寛容でいられるのだと気付かされました。」

ソファー、リネンクッションカバー、ieno textile

現在、家族で“エシカルな暮らし”を宣言し、健やかな日々を営んでいる中村さん。覚悟を持って暮らしと向き合うようになったのは、やはり娘さんの存在がきっかけでした。

「娘が10歳の頃、海洋プラスチックのパネル展をみた直後に、七夕の短冊に“ビニールを捨てる人がいなくなりますように”と書いていたんです。ハッとしました。子供の素直な言葉を、大人が聞き流してはいけない。変わっていく姿をみせることでしか、その言葉に応えられるものはない、と思ったんです。」

ieno textile、中村 暁野、家族と一年商店、家族カレンダー

完璧な暮らしでなくてもいい。自分にできることから、ひとつひとつ取り組んでいくと決めました。たとえば、何気なく使っていたティッシュを買うのをやめ、どうしても必要な時はバンブーロールを使う。洗剤は、環境に優しいホタテパウダーで代用するようになりました。

調味料、キッチン、エシカルな暮らし

「ゴミを減らしていく過程で、布に助けられることがよくあります。さらしは、ティッシュやラップの代わりになるし、温泉へいく際にも、濡れたタオルや石鹸は、布で包めばビニール袋いらず。拭いたり、包んだり、運んだり、敷いたり、布は本当に万能です。」

キッチン道具、キッチン

暮らしを支える道具として、さまざまなシーンで布を愛用する中村さん。そんな彼女の住まいへ今回迎えた〈14-23〉は、一枚で多用な使い方ができるマルチクロスです。

 

環境にも優しい、暮らしの布

ieno textile、リネンカーテン、黄色カーテン、14-23

クリップでとめるだけで窓辺を飾ったり、空間に仕切りを作ったり、ソファカバーやベッドリネンにも使える、暮らしの布。窓辺をメインに、エシカルな暮らしを飾る、リサイクル素材の布を迎えました。

ieno textile、中村 暁野、家族と一年商店、リネンカーテン、黄色カーテン

湖を望むダイニングの大きな窓にかけるのは、〈Re.nen〉のイエローと〈BAUMKUCHEN VOILE〉のブラウン。どちらもリサイクル技術を活かし再活用した布です。

ブルーとグレーで統一した空間に迎えるイエローは、ダイニングセットのウッドの素材感とも相性がよく、アクセントカラーとして空間を楽しく彩ります。

ieno textile、マグネットタッセル、リネンカーテン

マグネットタッセル<ムーブ>を組み合わせれば、布に動きが生まれ、空間をより軽やかに演出します。

「普段の生活にないカラーなので、新鮮な景色です。厚手で大判の布は使いやすいので、窓辺以外でも活躍の場が多そうです。家族で近所の山を散歩する際には、休憩時の敷物や、子供のブランケット代わりに。肌に直接触れるものなので、リネンのやわらかな風合いもうれしいですね。」

ieno textile、ランプシェード

リビングの窓の景色とリンクするように、キッチンのランプシェードには、同じ〈BAUMKUCHEN VOILE〉を取り入れました。濃淡の異なるブラウンで描く縦のラインによって、空間をより開放的に感じられます。

キッチン、リノベーション、中村 暁野

 

湖畔の元別荘を、直しながら暮らす

別荘リノベーション、中村 暁野

家族が暮らす家は、バブル期に建てられた元別荘です。奇抜なデザインや華美な装飾から、はじめは暮らすイメージが全く持てなかった、と中村さんは話します。

「床は肉のようなピンクの絨毯張りで、天井にはシャンデリア。カラオケのお立ち台や、バーカウンターなんてものまでありました。」

ieno textile、腰高窓カーテン、TOSS、グレー

不要なものを解体しながら、空間デザインの仕事をしているパートナーが中心となって、もとの素材を生かすように改装。キッチンの床はタイル張りに、備え付けの棚はオイルステインし、壁紙は剥がしてブルーに塗り替えました。自分たちが住みやすい空間へ、暮らしを整えていきます。

リビングとキッチンの仕切りはなくし、開放的なワンルームへ。空間の主役は、デンマークのダイニングセット。前の家からそのまま持ち込んだ家具ながら、違和感なく馴染みます。

ieno textile、TOSS、グレー、腰高窓カーテン

普段はブルーのリネンで統一する窓辺も、過ごすシーンによって掛け替えることで、より居心地のいい空間に。2つある腰高窓には、透け感のある〈TOSS〉のグレーを迎えました。

ブルーの壁とも相性のいいグレーは、穏やかな色味が、家族で寛ぐ空間を演出します。

ieno textile、リネンカーテン、Re.nen、TOSS

視界をほどよく遮りながら、光を取り入れ、生活を明るく照らします。

「もともと窓周りは、光を遮断してしまうのが苦手で、リネンのカーテンで統一していました。同じように透け感のある素材ながら、リネンとはまたちがう軽やかな素材感がいいですね。」

ieno textile、リサイクル素材、カーテン

日当たりのいいキッチンは、愛犬・コグマちゃんの日向ぼっこスポット。タイル張りで異国感のある空間には、アップサイクルから生まれた〈LA〉を迎えました。

ieno textile、ペットボトル生地、カーテン

不要になったペットボトルからランダムなシェニールの糸をつくり、立体感・奥行きのある厚手の布が生まれます。

ふんわりと肌触りの良い布は、高密度で織っているため断熱性も高く、冷え込む冬の日は暖かく室内を保ちます。

ieno textile、リサイクル素材、カーテン

クラシックな空間を演出するジンジャーレッドは、ホワイトやグレーなどの無彩色と組み合わせることで、自然と空間に馴染みます。

本棚、DIY

「気になるところがあれば直しながら暮らしています。夫もわたしも思い立ったら、ぱっと手を動かす性格。玄関の本棚は、夫が木材を切り出すところからはじめて、たったの1日で完成させたのには驚きました。仕切られた空間が少ない我が家ですが、最近では中学生の娘のために、2階に新しく子供部屋を作ろうと考えています。」

洗面台

少しずつ手を加え、心地よさを探る日々。一回の改修で、気持ちよく使い続けられるスペースがある一方で、洗面所はすでに三度の改修を終えているのだとか。子供たちの成長や、生活の変化にあわせて、少しずつ環境を整えているそう。

 

暮らしと向き合い、新しい時代を切り開く

ieno textile、バームクーヘン

「暮らしや消費のかたちは、自分たちの意思で変えていくことができましたが、夫自身の仕事は、消費を促す一面もあり、葛藤を抱えていたようです。急にすべてを変えられなくても、ひとつひとつ、胸の張れることを仕事でもしていこう、と家族で話し合って生まれたのが〈家族と一年商店〉でした。」

家族と一年商店、キッチン、エシカルな暮らし

「暮らしを照らす、エシカルショップ」として、藤野で出会ったものやフェアトレードなもの、環境負荷の少ないものなどを中心に取り扱う商店を、2年前よりスタートしました。

「自分たちの暮らしと向き合うことで、ほんのわずかだとしても、社会課題の解決に貢献できると確信しました。商店の運営を通して、全国にいる同じ方向を向いた人たちとつながれることは、日々の暮らしの励みにもなっています。」

 

家族は社会の最小単位

エシカルな暮らし、中村 暁野、家族と一年商店、

中村さんは自身の家族との暮らしを雑誌やウェブ媒体で発信しながら、雑誌の発行や商店の運営など、“家族”をテーマに活動を続けています。「家族は社会の最小単位だと思うんです」と、彼女はいいます。

「家族を考えることは、社会を考えることにもつながるし、家族と向き合うことは、社会に向き合うことにもつながると信じています」

暮らしの延長に社会がある。健やかな明日を迎えるため、彼女は今日も家族の手をとり、声に耳を傾けます。

 

 

person / Akino Nakamura

edit & write / Arisa Kitamura

photo / Yukihiro Shinohara
湖畔の家で築く、家族という小さな社会。

14-23 Re.nen (YE)

質感が良く丈夫なリネン100%のテキスタイル。

10,800円(税込11,880円)

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湖畔の家で築く、家族という小さな社会。

TASSEL ムーブ (IV)

紐を引く緩めることで束ねる度合いを調整できる、機能的でシンプルなマグネットタッセル。

4,000円(税込4,400円)

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湖畔の家で築く、家族という小さな社会。

14-23 BAUMKUCHEN VOILE (BR)

透けにくい自然な厚みの場所と良く透ける場所の特性を活かし、空間に解け込むテキスタイル。

8,800円(税込9,680円)

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湖畔の家で築く、家族という小さな社会。

LAMP SHADE BAUMKUCHEN VOILE (BR)

タテのストライプが美しい影を作るランプシェード。

21,500円(税込23,650円)

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湖畔の家で築く、家族という小さな社会。

14-23 TOSS (GR)

リネンとポリエステルの糸をバランスよく混ぜ合わせ、軽くて心地よい光を取り込むしなやかなテキスタイル。

10,800円(税込11,880円)

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湖畔の家で築く、家族という小さな社会。

14-23 LA (OWT/GRE)

ふっくらと肌触りの良い厚手のテキスタイル。

9,800円(税込10,780円)

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