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ふつうを特別に。着替えるように、住まいを彩る。

平安伸銅工業,竹内 香予子,突っ張り棒博士,ieno textile

ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。

使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。

 

ふつうを特別に。着替えるように、住まいを彩る。

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家庭用の「つっぱり棒」を世界で初めて開発・販売したことで知られる〈平安伸銅工業〉。その3代目社長である竹内香予子さんが、家族と暮らす大阪市内のマンションの一室は、いつか手放すことを前提に、100本以上のつっぱり棒で理想の空間をつくりあげました。

〈14-23〉で空間を仕切ることで、インテリアを楽しみながら、隠すシーンと見せるシーンを快適に棲み分けます。利便性だけでない、柔軟性と心地よさを追求した、家づくりの工夫が詰まっていました。

 

「間取り」の呪縛から脱してみれば

つっぱり棒を使った自由な収納アイディアで、自分らしい空間づくりを楽しむ竹内さん。間取りにとらわれない、しなやかな暮らしを考えるようになったのは、結婚後、夫婦で最初に暮らした住まいがきっかけでした。

「2LDKの賃貸マンションに暮らし始めると、片付けが苦手ということもあり、リビングはすぐに散らかって、家にいても寛げない。どことなくずっと居心地の悪さを感じていました。」

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困った竹内さんは、整理収納アドバイザーの友人に助けを求めたところ、「間取りに縛られるのではなく、自分のニーズにあわせて空間の使い方を変えてみたら」という、アドバイスをもらいます。

「一般的な日本の住宅の間取りでは、リビングや寝室、客間というように部屋ごとに使い方が決められていますよね。それを疑うことなく、決まった間取りに自分たちの暮らしを合わせていたことが、居心地の悪さを生んでいました。」

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自分たちで間取りを自由に組み換えられるような、柔軟な家づくりをしたいと考えるようになった竹内さん。2016年、中古マンションを購入すると、60平米の空間は、壁を取り払いほとんどワンルームのようにリノベーション。ゆるやかに空間を仕切るために、布を取り入れるようになりました。

 

つっぱり棒と布でつくる、自由な空間づくり

「それまで収納アイテムとして活用していたつっぱり棒が、空間づくりにも役立つと気がつきました。その一方で、仕切りにちょうどいい布を探すうちに出会ったのが〈14-23〉です。用途を決めないワンサイズで、カーテンや仕切りに自由に使えるのが、まさに求めていたものでした。」

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(竹内さん提供の写真)

もともと押入れだったスペースは、布で仕切って寝室として活用。窓辺につっぱり棒を2本重ねることで、カーテンで洗濯物を隠せるようなアイディアも。

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(竹内さん提供の写真)

大きな箱のような空間を、100本以上のつっぱり棒や布を駆使して自由にデザインしていきます。 さらに、家事動線に沿って収納スペースを設計することで、無理せず整う暮らしが実現しました。

 

出産とコロナ禍を経て、変化するライフスタイル

リノベーションで叶えたお気に入りの住まいでしたが、その快適さは長くは続きませんでした。

「2020年、子どもが生まれると同時にコロナ禍に突入しました。子育てやリモートワークが始まると、夫婦ふたりが寛ぐ空間として設計した住まいは次第に機能しなくなっていきました。」

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不便を感じつつも、やはり愛着のある住まい。我慢しながら暮らすうち、竹内さんは次第に、心が疲弊していくのを感じていきました。一年後、ついに家を手放すことを決め、3LDKの賃貸マンションへ引っ越しました。

仮住まいとして迎えた新居でしたが、できる限り心地のいい空間にしたい。もちろん、賃貸なので現状復帰できることが条件です。間取りにとらわれない自由な家づくりの経験は、新たな住まいでも生かされていきました。

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(竹内さん提供の写真)

「6畳の部屋には、夫婦それぞれのワークスペースを設けました。ひとつの空間を布で仕切ることで、お互い集中して仕事に向かえる環境をつくることができ、〈14-23〉の順応性の高さに感動しました。」

そして、コロナが落ち着き、子どもとの新生活の見通しが経った昨年、現在暮らすマンションを購入しました。

 

制限された住まいで、自分らしく過ごすには

再び大胆なリノベーションで自分らしい家づくりを実践するかと思いきや、竹内さんが選んだのは、意外にも一般的なマンションの一室。使い勝手のいい白壁に、経年劣化しにくい床材。万人受けする、いわゆる“ふつうの住まい”を選んだことには理由がありました。

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「いつか手放すことを前提に、家を買いました。子どもの教育環境や立地など、仕事と暮らしのバランスを最優先に物件を探し、見つけたのが現在の住まいです。リビングを広くとったこと以外は、大きな改修もしていません。」

ライフスタイルの変化と共に、次の暮らしを考えていると話す竹内さん。リノベーションした以前の住まいを売りに出した時は、こだわった内装や建具、高性能のキッチンも評価されず悔しい思いをした経験から、あえて手を加えず、買い手がつきやすい、ベーシックな空間を選んだそう。

「一般的な住宅に、自分たちの彩りをどう足していくか。つっぱり棒や〈14-23〉を組み合わせながら、制限された環境でも心地よく過ごせるような、家づくりを楽しんでいます。」

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白壁に馴染むスタイリッシュなつっぱり棒〈DRAW A LINE〉を縦に使えば、壁に穴を開けることなく、時計やお気に入りのアートを暮らしに取り入れられます。

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照明をつければ、フロアランプとしても活躍します。間接照明を用いて多灯化することで、ニュアンスのある光によって空間を演出できます。

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家族で集うダイニングにはたくさんの植物と共に、〈BAUMKUCHEN VOILE〉のナチュラルが日常を飾ります。薄手の布は明るい光を取り入れるので、カーテンを閉めたままでも伸び伸びと植物が育ちます。

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強い日差しを遮りたい時や、外からの視線が気になるスペースには〈Re.nen〉のホワイトを。ひとつの窓に複数の布を迎え、自由にコーディネートできるのも〈14-23〉ならでは。

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もともとカラフルで賑やかな空間が好きだと話す竹内さん。リビングには、〈TOSS〉のネイビーとピーチをかけ合わせました。

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カラーの布は、シンプルなホワイトと組み合わせることで、バランスよく空間に調和します。

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マグネットタッセルを使って布に動きを出し、個性が引き立つ窓辺を演出できます。

 

日常のものは隠す、効率よく収める

各個室にクローゼットが設置された、一般的な3LDKの住まい。新たな住まいでは、収納の工夫はどうしているのでしょうか。

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「日常的に使うものを収める場所、美しく飾って見せる場所のふたつのシーンを区分けしています。たとえば、一部屋をワークスペース兼収納スペースとして活用。各部屋のクローゼットは使わず、手製のウォークインクローゼットにまとめることで、管理もしやすく、リビングに洋服が放置されることもなくなりました。」

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さらに、ふだん使わない器もまとめて収納。キッチンには、使用頻度の高い器のみを置くことですっきり保つことができるそう。

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生活感が出やすい収納スペースは、厚手の〈Ahaha〉でしっかり隠します。リサイクル素材の優しい質感とシンプルなカラーが、圧迫感なく空間を美しくまとめます。

 

思い出を散りばめたインテリア

生活感のあるアイテムは収納スペースにまとめることで、リビングは、お気に入りのアートやインテリアを散りばめた、見せる空間として心地よく整います。

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〈DRAW A LINE〉と並べて使うのは、シンプルながら、収納力のある〈AIR SHELF〉。飾り棚として、軽やかに設置が可能。

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リビングを賑やかに彩るのは、竹内さんのお気に入りの雑貨たち。祖父の遺品である北欧雑貨の馬の置物や、旅先で出会った猫の木彫りの置物、イタリア出張の空港で見つけた韓国の作家のオブジェなど、家族の思い出や旅の記憶がインテリアに馴染みます。

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今回、竹内さんからのリクエストで、「心地よさを纏って。「つくる」と「つかう」を考える、布の家。」で紹介したように、大切にされている布を、空間のなかに織り交ぜさせていただきました。〈14-23〉はシンプルな暮らしの布だからこそ、他の布とも相性がよく、好きな組み合わせで楽しめます。

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暮らしのちょっとした隙間に、布を足すことで、視界に入るたびご機嫌な気分に。刻まれた思いと共に、生活を豊かに彩ります。

 

住まいの可能性を広げる、暮らしの道具

棚やフロアランプ、トレイとして何役にも活躍する〈DRAW A LINE〉ですが、もちろん〈14-23〉との相性も抜群。

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新たに玄関の仕切りとして、軽やかで穏やかな〈TOSS〉のグレーをご提案しました。DRAW A LINEの〈Tension Rod〉ブラックと組み合わせることで、シックな仕上がりに。

「縦に使うことが多い〈DRAW A LINE〉を普通のつっぱり棒のように、横向きで設置するのが新鮮でした。透け感のある素材は、圧迫感がなく、無機質になりがちな廊下のアクセントになりそうです。」

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玄関に布を一枚かけるだけで、冬の間は玄関先の冷たい風や空気を遮ることができ、冷暖房効果も高まります。インテリアだけでなく、機能的にもおすすめの使い方です。

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白を基調としたサニタリールームの洗濯機の前には、〈Tension Rod〉のホワイトと共に〈TOSS〉のホワイトをセレクト。清潔感のあるホワイトが、生活感を隠し、美しく空間をまとめてくれます。

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今回は、これまで仕切りのなかった開放的なLDKに、森の中にいるような安らぎを与える〈KOMOREBI〉〈TOSS〉のホワイトをご提案しました。

3メートルの幅まで、突っ張ることができる〈Tension Rod Pro〉を活用すれば、大胆に空間を仕切ることができます。

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穴を開けたり特別な工事も必要ないため、気軽に模様替えを楽しめます。

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〈14-23〉が3枚ほどかけられるゆとりを持つ、即席のカーテンレールとして、ダイニングとリビングを、ゆるやかに仕切ります。透ける素材をセレクトすれば、開放感ある間取りを生かしつつ、圧迫感なく空間を彩ることができます。

「あえて壁を取り払ったリビングでしたが、薄手の布で仕切ることで、ゆるやかにふたつのシーンが共存する楽しさが感じられて、すごく気に入りました。」

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ダイニングの窓辺には、シックなブラックの〈Tension Rod Pro〉をプラス。普段のカーテンレールより高い位置から布がかかることで、天井が高く、空間がより広く感じられます。

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組み合わせるのは、2色の〈Re.nen〉。ほどよい厚みで光を感じる素材は、窓からの冷気も抑え、インテリアとしてもこの季節らしい窓辺を演出します。一枚足したり、引いたり、つっぱり棒と同じく、服を着替えるように気軽に付け替えられるのも〈14-23〉の魅力のひとつです。

 

空間の価値を引き出す、「暮らすがえ」

衣替えをするように、季節や気分にあわせて、気軽に「暮らすがえ」。会社のミッションとしても掲げるこの言葉に詰まった思いと共に、竹内さんは自らの暮らしを通して、空間を自由にカスタムするアイディアを届けたいと話します。

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「SNSの発達と共に時代も変化し、こだわりのインテリアを公開する人が増えてきました。縁の下の力持ちとして日本の暮らしを支えてきたつっぱり棒も、現代の住まいに寄り添うデザインに進化することで、魅力的な空間づくりに役立てたらうれしいです。」

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さらに、住まいを変え、環境の変化を重ねる自身の体験のなかで、どんなライフスタイルにもフィットする、布の汎用性の高さに助けられてきたと話します。

「これまでの住まいでも活躍してくれた〈14-23〉ですが、今回、新たなシーンで迎えてみることで、より自由で、心地いい空間が叶いました。これからも、大好きなつっぱり棒と組み合わせながら、色をふんだんに使った、明るく個性的な部屋を目指していきたいです。」

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賃貸でも、コンパクトなワンルームでも、古い一軒家でも。どんな住まいでも、快適で自分らしい暮らしを楽しめる。

空間の価値を引き出す暮らしの道具と共に、竹内さんの家づくりの探求は続きます。

 

 

person / Kayoko Takeuchi

edit & write / Arisa Kitamura

photo / Kosuke Nishikawa
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