愛猫と過ごす、夢みるワンルーム。
ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。
使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。
リノベーション会社〈ゼロリノベ〉で広報を務める小野笑さん。日々、さまざまなお客様の家づくりに触れるなかで、「自分にとっての心地よい暮らしとは?」と、自然と考えるようになったといいます。そうして選んだのは、築50年の中古マンション。
ひとり暮らしの住まいに、自分の好きな世界をぎゅっと詰め込んで、ゼロからつくり上げました。ファンタジーのエッセンスをちりばめた空間には、愛猫と過ごす穏やかな時間が流れる。扉の代わりに取り入れた〈14-23〉の布が、暮らしにそっと魔法をかけます。
「家を買うなんてもっとずっと先のことだと思っていました。」
東京都内での賃貸暮らしを経て、小野さんがひとりで暮らす家を購入したのは2024年4月のこと。きっかけは、お客様からの声でした。
「家賃を払い続けることに抵抗があった」
「理想の住まいが賃貸では見つからない」
そんな想いに共感するうちに、自分自身の暮らしを見つめ直すようになったといいます。「“自分の好き”をちゃんと家に反映させているのが本当に素敵で。『こういうのもアリなんだ』と、思うようになりました。」
ゼロリノベは家を持つ選択をするシングル女性も多く、「返済が苦しくならない資金計画での住まい購入とリノベーション」というサービスの安心感から、おひとりさまリノベを決意したそう。
加えて、高齢の愛猫ダイナを「最期は家族のそばで見送りたい」という気持ちも後押しに。「実家から30分圏内という距離感と、物件の管理状態を重視し、築50年の中古マンションを選びました。」
家を買うという決断は、どこか遠い未来の話だったはずが、「ひとりでも、できるかもしれない」という想いが少しずつ現実になっていきました。
「人を招くことも多くないので、隠す必要もなくて。むしろ億劫なドアの開閉や、ドアを開けっぱなしにすることで溜まるホコリが気になる方で…だったら最初からつけない方がいいかなと。」
シンプルな動線と余白のある設計は、空調効率やコスト削減にもつながるだけでなく、猫がいる暮らしにもフィットしました。気ままに部屋を移動できる快適さは、猫にとってもストレスフリーな空間が生まれました。
思いきって扉をなくし、代わりに選んだのは、軽やかな〈14-23〉で空間をゆるやかに仕切る方法でした。
光をうっすらと透かすテキスタイルは、空間をゆるやかに仕切りながらも、気配や温度、光をつなぐ“やわらかな境界”として機能しています。
「つっぱり棒とクリップを使えば、どこにでも取り付けられるし、サイズの融通もきくのが嬉しいポイントでした。」
お客様のお住まいを取材する中で、「これ、いいな」と感じたアイデアを、今回は自分の住まいにも取り入れてみたという小野さん。
その日の気分や季節に合わせて、布を掛け替えて楽しむ。そんな、やわらかくしなやかな間取りが、小野さんの暮らしにはよく似合います。
おこもり感のある印象的なベッドの仕切りに選んだのは〈KINU〉。 シルクとリネンをバランスよく織り交ぜた〈KINU〉は、肌触りも優しく、そっと空間を包み込んでくれるような一枚。
中に照明を灯しても透けにくいため、安心感もあり、穏やかな時間を過ごせる場所をつくってくれます。
縁に施したマスタードイエローのステッチは、真鍮のレールや照明と相性がよく、アンティーク調の雰囲気にもぴったりです。
玄関側に設置したウォークインクローゼットと収納スペースの扉の代わりには、軽やかで 美しい輝きを見せる〈THIME〉をお使いいただいています。
ベットの〈KINU〉とナチュラルなトーンを合わせつつも、照明の光に反応してほのかに輝く〈THIME〉が、帰宅後の疲れをそっと癒します。
サニタリーには、床材と壁の色味に合わせて、薄手の〈Ufufu〉と厚手の〈Ahaha〉を組み合わせて、空間にメリハリをつくります。
ワイヤーレールには、着け外しが簡単なディスプレイリングを付け足すことで、より気軽に〈14-23〉を取り入れられます。
必要に応じて、軽やかに仕切ることで、来客時にも負担なくプライベートな空間をつくることができます。
住まいの顔である玄関に迎えるのは〈LA〉のジンジャーレッド。
ほのかな光沢感とクラシックな佇まいが、しっとりと上質な空気をまとう一枚です。重厚な造作家具との相性もよく、空間のアクセントとしても印象的です。
そっと掲げられた「smile」の文字は、小野さんの名前「笑(えみい)」から選んだ言葉。
厚手の生地は冷暖房効率も高めてくれるため、見た目だけでなく機能面でも快適な暮らしを支えてくれています。
真鍮との相性もいいブラックの〈Tension Rod〉を使えば、空間の世界観を壊すことなく、シックな印象に仕上がります。
暮らしのなかには、小野さんの「好き」が余すことなく表現されています。
インスピレーションの源は、大好きなディズニー作品のひとつである『不思議の国のアリス』。
物語の舞台を演出するように、家具やインテリアが空間に息づいています。
「家具のセンスに自信がないので、造作でまとめてもらいました。白も真っ白じゃなくて“影のある白”を選んだり、猫の毛が目立ちにくく掃除しやすい床材にしたり。見た目も、機能性も、どちらも妥協したくなかったんです。」
家具のなかでも、空間の中心に造作されたカウンターはとくに目を惹きます。
「一人暮らしで来客も多くないからこそ、空間を効率的に使いたくて。一台で何役もこなせるカウンターをつくってもらいました。」
食事だけでなく、収納も備えた調理台として、また仕事や趣味のものづくりにも活躍するカウンター。スタンディング作業ができるよう高めに設計してもらったところ、これが大正解だったそう。
自分のライフスタイルに合わせて空間をカスタムできるのも、リノベーションの醍醐味。自分の「好き」をベースにした住まいは、働き方にもしなやかに寄り添ってくれます。
ヨーロッパアンティークを意識した住まいづくりにあわせ、普段は落ち着いた花柄のカーテンで飾るダイニングの窓辺。
今回は、小野さんが大切にする世界感を保ちつつ、新たに〈14-23〉で窓辺のコーディネートをご提案させていただきました。
落ち着いたグリーンのカラーが印象的なダイニングキッチンには、 自然からインスピレーションを得た、〈Re.nen〉のキャロットを。
2面採光のやわらかな光が差し込むこの部屋では、天然素材のリネンが持つやさしい質感が、空間に穏やかな空気をもたらしてくれます。また、明るいカラーが気持ちを上向きにしてくれる心地よさがあります。
隣には、〈Re.nen〉のグレーを組み合わせました。 異なるカラーも素材をあわせることでしっとりと空間に調和します。
マグネットタッセル〈リュバン〉で、軽やかにたくし上げてまとめて、 空間に新たな表情を与えます。
リビングには、ふっくらと肌触りのいい〈LA〉のミントと透明感が美しい〈BAUMKUCHEN VOILE〉のブラウンをコーディネート。 落ち着いた木の家具の色とマッチして、空間を上品にまとめます。
ミントは様々な素材と相性がいいので、初めてのカラーを選ぶ時にもおすすめの一枚です。
「この家づくりを通して、自分にとっての“快適”の輪郭をはっきりさせることができた気がします。」
起きてすぐ使えるサニタリー、回遊できる動線、収納も兼ねた造作家具。すべては「ライフスタイルの変化も見据えた自分の暮らし」にフィットするよう、丁寧に選び抜かれてきました。
「家賃を払い続ける不安からも、空間に対する妥協からも解放されて。好きなことを好きなだけ楽しめる、そんな土台ができた気がしています。」
これからバルコニーでは、家庭菜園を楽しんだり、現在「カフェのオープンテラス」のように使っている玄関土間も、将来的にはラグやソファを置いて、“セカンドリビング”として使ってみたいと小野さんは話します。
季節や気分に合わせて、少しずつかたちを変えていく余白のある空間。
ここは小野さんにとって、まさに“My Wonderland”。
その世界はこれからも、静かに、しなやかに、広がりつづけていくことでしょう。