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世界が注目する、布のトレンドのお話。 Heimtextil Trends2023/24

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

ある時は、光を取り込む窓辺に。
ある時は、食卓を華やかに彩るテーブルに。
ある時は、風合いの良さを肌で感じるベッドリネンに。

使う場所や⽤途によって、その布の表情はがらりと変わる。
さまざまな⼈びとの暮らしから、〈14-23〉がある⾵景をお届けします。

 

世界が注目する、布のトレンドのお話。

2021年からスタートした「14-23のあるくらし」はおかげさまで17回目となります。これまで様々なお家に伺い、自然と暮らしに寄り添う<14-23>がある風景をお届けしてきました。今回は番外編としてieno textile主宰の南村弾より、世界が注目する、布のトレンドのお話をさせて頂きます。

 

3年ぶりのフランクフルト

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

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いつもどうもありがとうございます。ieno textileの南村弾です。

2020年の1月以来3年ぶりにドイツ・フランクフルトで世界で最も大きな布の展示会、「Heimtextil (ハイムテキスタイル)」が開催されました。ホームテキスタイル分野で、最新のトレンドを1971年から50年以上発信し続けてきた歴史のある展示会です。

我々は2009年~2019年の10年間、ハイムテキスタイルのトレンドセッティングを行い、2020年からはアンバサダーとして関わっています。

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

今回は、日本からご来場いただく皆さまへの「トレンド・レクチャー(解説)」と、世界各地の工場と新たな14-23(布)作りを進めるために、我々もドイツへ行ってきました。

飛行機、空

久しぶりの長時間の飛行機と時差、上からの景色が大好きなロシアの上空を飛べないこと、など実はハラハラドキドキも多かったことを思い出しながら書いています。

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

ハイムテキスタイルは以前のようにあらゆる国の方で賑わい、懐かしい感覚の中トレンドに関わる方々や工場のみんなに会い、うれしいリアルの展示会が始まりました。

 

Heimtextil Trends2023/24

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

ハイムテキスタイルが提案するトレンドは、以前からサステナブルを部分的に取り上げていましたが、パンデミックが起きたこの3年間は本気で環境性能・循環型(サステナブル)を高めるテーマのみに絞り込み進めてきました。

2023年のトレンドはその集大成とも言える「布の産業」そのものを循環型に構築するテーマの元、トレンドの提案を行いました。

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

これまでの傾向とは異なり、「布」そのもののデザインをテーマにしないトレンドの提案でした。そのため、なかなか捉えることが大変ですが、視点を変えると今だからできること、やるべきことがあることに気づかされました。

では、2023/2024年のトレンドをご紹介いたします。

 

Make and Remake

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

まずは「今すでにある布をなるべくそのまま活かす方法」があります。

飽きてしまったもの、売れ残ってしまったもの、端材やサンプルなど、理由はさまざまです。実はこういう布は結構あります。

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

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これらに上からプリントや染色、パッチワークのパーツに使ったりと、アイデアやクリエーション力が試されるデザインです。

ACTUS、パッチワーク、FABRICIA

我々は以前、ライフスタイルショップのアクタスさんと一緒にカーテンの端材を活用する企画を考えデザインをしたことがあります。

ACTUS、残布の活用、FABRICIA

パッチワークの14-23を仕立てたり、ステッチに特徴を持たせたトートバックを作ったりと、楽しんで再活用しながらデザインに取り組むことの重要性を思い出しました。是非定期的に今後もやりたいデザインです。

 

Continuous

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あるいは「今すでにある布の形を大きく変えて活かす方法」もあります。

あらゆる布を粉砕し綿に戻して糸をつくり、また布をつくります。柔らかい布はもちろん、木材やプラスチックの代わりになり得る固い板状の布の素材まで技術力が必要なデザインです。

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実は100年以上前に日本やスペインなどで始まった布の再活用の技術で、我々は20年ほど前にこの技術に日本で出会い感銘を受けて布作りに取り入れたことが、デザインの原点でもあります。

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バームクーヘン>や<バームクーヘンボイルPUREKINURe.nen>などです。この方法だから生まれる優しい布の質感や香りに今でも惹かれています。

ieno textile、南村弾、リサイクル繊維

また、同様の再活用の技術で、仕上げに布を固めた素材でieno textileのお店の壁や収納ボックスをつくり、耐久性を試しながら空間デザインのアクセントにしています。

 

From earth&Nature Engineered

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

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今さら言うまでもないですが、自然界にある天然の素材の活用も「布の産業」の循環型に貢献するのは間違いありません。

ieno textile、タッセル、マグネットタッセル

14-23(マルチクロス)で使うマグネットタッセルは天然の素材を多く使用しています。これらの素材は不規則で温かみのある雰囲気がデザインそのものだと改めて気づきました。

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾 ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

環境性能・循環型(サステナブル)のテーマは企業はもちろん個人もみんなが考え、やっていて当たり前の時代を迎えたと思います。パンデミックが起きたこの3年間の経験が加速化してくれました。「布の産業」がより良く循環し、素晴らしい布が生まれてくることを願うばかりです。

 

今後の布のトレンドについて

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

余談ですが、これまでのヨーロッパトレンドは占いと似た要素が多くありました。未来を捉える指針として、少し知っていれば対処できることが実は結構あります。

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

ハイムテキスタイル、Heimtextil、南村弾

今後はサステナブルであることがベースにあって、どんなトレンドがハイムテキスタイルから生まれてくるのか楽しみです。また占いの要素にも期待しつつ…。

布のある暮らし、白いカーテン

さて、我々もこの後のクリエーションが大事な時代です、どの部分に興味を持って焦点をあて、どんなスタイルをつくっていくか、布と話し、場合によっては占いながら未来の「布のある暮らし」の妄想を膨らませたいと思います。

最後までご覧いただき、どうもありがとうございます。

次回は普段の「14−23のあるくらし」です、すてきなお家にお邪魔しています。
どうぞ今後とも宜しくお願い申し上げます!

 

 

write / Dan Namura

edit / ieno textile